第21回猫の繁殖力

　ねず美ちゃんは、５ヵ月の間を置き、２回目の出産をしました。今回は３匹でしたが、前回は２匹産みました。ねず美ちゃんは体が小ぶりな猫なので、２匹、３匹と少なめに産んでいますが、一度に５、６匹産む猫もいるようで、猫の繁殖力はすごいと思います。

　もし猫が２、３年に１回、１匹の子猫しか産まないのであれば、猫はもっと希少価値のある動物になって、年間何十万匹も保健所で殺されなくてもいいのにと思います。

なぜか１匹だけ黒猫が産まれました。
　ねず美ちゃんにまた子猫が産まれたことをブログに書いたら、キューちゃんの実家の牧さんが、出産祝いにと、可愛い猫の植木鉢に入った花を届けてくれました。キューちゃんは相変わらず寅さんみたいに放浪しているようで、お正月に１度帰ってきて、それからまた出て行って、３ヵ月近く経つのにまだ帰って来ないそうです。お正月に帰ってくるというのが可笑しいですけど、３ヵ月も帰らないとはどうしたのでしょうか。うちにも姿を現さないし、ひょっとしてどこかの猫になっているのかもしれません。

　さて、問題のたびちゃんはというと、ねず美ちゃんが産んだ子猫を突っついたり、舐めたり、首のところを噛んだりしています。殺したりしないだろうかと美子ちゃんが心配しているのですが、おそらく可愛がっているのだと思います。

　あるとき、ねず美ちゃんが帰ってきたら、たびちゃんがあわてて子猫のところに行ったと、美子ちゃんが言います。たびちゃんは子猫を舐めたりして、お姉さんとしてなのか、お母さんとしてなのか、子猫を可愛がっていたそうです。ねず美ちゃんは、ときどき外出しますが、その間たびちゃんに子猫の番をするよう頼んでいるのではないかと美子ちゃんは言うのですが、どうなんでしょう。

子猫を舐めているたびちゃん。
　かと思うと、押し入れの上の段から、１匹だけ産まれた黒猫を畳に落としたことがありました。キジ柄ばかりの中で１匹だけ真っ黒だから、異端だと思ったのでしょうか。それとも、自分がオッパイを吸えなくなるから落としたのかもしれません。

　ねず美ちゃん親子は、１階の押し入れの夏掛け布団の上にいます。たびちゃんも一緒に丸まっていて、一家５匹が仲よくしているのですが、子猫に混じってたびちゃんもオッパイに吸いついていることがあります。ねず美ちゃんが２度目の妊娠をしたとき、あんなにたびちゃんを威嚇して親離れさそうとしたのに、ねず美ちゃんはもう諦めたのかイヤがるふうでもなく、みんなまとめて面倒みています。

ねず美ちゃんのオッパイに吸いついているたびちゃん。大きな子ども。
　子猫がまた産まれたということで、美子ちゃんのお兄さん一家が子猫を見に来ました。お父さんたちも見に来ました。そういうことがあったからか、ねず美ちゃんは１階の押し入れから、２階のクローゼットに子猫を移し、そのあと僕の部屋のガラクタを入れた棚の一番上に置いてある段ボール箱に移しました。みんなが見るから一番人目につかない場所に移しているのだろうと思っていたら、美子ちゃんが「何かの訓練でしょう」と言います。確かに、たびちゃんたちが産まれたときも、何箇所か場所を移していました。

　それにしても、段ボールの箱には、電気のコードや文房具やビデオテープやらが入っていて、ゴツゴツして寝づらいと思うので、小さい毛布を敷いてあげました。

　たびちゃんは、ねず美ちゃんが場所を移すたびに自分もそこに移動し、いつも５匹で仲よく寝ています。

　子猫はだいぶ大きくなり、手のひらに乗せるとズッシリした重みがありました。育つの早いなぁ、猫は繁殖力あるなぁ。