テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
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DATE/ 2016.04.11

第3回 ネズミのような猫

 キューちゃんが取り持つ縁で、牧さんとの交流が始まりました。

 キューちゃんについて新たにわかったことは、牧さんのところにはもう1匹プーちゃんという猫がいて、キューちゃんと仲が悪いこと、キューちゃんは網戸が開けられないので、帰ってきても牧さんがいないと、また出かけてしまうことがあるということです。キューちゃんが放浪する原因がなんとなくわかったように思いました。

 キューちゃんがうちに来たときは、体にちょっと触るぐらいしかできなかったのですが、美子ちゃんが牧さんの家に行ったとき、キューちゃんを抱いたらゴロゴロ言っていたそうです。外では緊張しているけど、本当はすごく甘えん坊なのかもしれません。そのゴロゴロがすごく気持ちよかったと美子ちゃんは言っていたので、うちでも猫を飼うようになるだろうなと予感していました。

 用賀の商店街に、USAというペット用品の店があります。ここには大きなケージが置かれていて、ガラス越しに外から見えるようになっています。

 10月の終わりごろ、美子ちゃんがUSAの前を通りかかったら「猫あげます」という貼紙がしてあったので、その店のマダムに聞いたら「今度来ますよ」と言っていたそうです。

 1週間ほどしてまた通りかかったら、ケージの中にキジ柄の子猫がいたそうです。マダムに聞くと、砧公園にまだ目が開いていない子猫が2匹いて、それを拾った人が獣医さんに連れて行って病気の検査してもらったのだけど、自分のところでは飼えないのでここに連れて来たとか。2匹いたけど、1匹はすでに誰かに貰われたそうです。

 美子ちゃんは、キューちゃんや、荒木経惟さんのところのチロちゃんみたいな、黒白でオリジナルな柄の猫が欲しかったようです。キジ柄はどこにでもよくいるので、「どうかなあ?」と思ってケージの中の子猫を見ていると、なんとその子がウインクしてきたそうです(ホントだろうか?)。「これはやられたな」と思っていたら、マダムが「あなたが一番最初だから、あなたに権利がありますよ」と言うので、その子を引き取ることにしたと言います。

 次の日、美子ちゃんとその猫を引き取りに行きました。

 USAに行くと、子猫がケージの中で遊んでいました。尻尾が曲がって短いキジトラの雌です。この子のほうが売れ残ったのは、尻尾に原因があるのかもしれません。

 ケージの間から指を入れてみると、近寄って来てジャレます。やっぱり子猫は可愛いなあ。

 USAでケージやら猫トイレを買って、その子を猫バッグに入れて連れて帰りました。家に帰って、バッグから子猫を出すと「ここがわが家か」みたいなくつろいだ表情になり、座布団の上にヨチヨチ歩いて行きベタッとなりました。疲れたのかもしれません。

わが家に来た子猫。いきなり座布団にベタッとなりました。

 買ってきたケージを組み立て、余った絨毯を切って下に敷き、段ボール箱を切って寝床を作ってあげました。お腹が空いていたのか、ゴハンをあげるとすごい勢いで食べ始めました。

 そのあと美子ちゃんは出かけ、ぼくも用事があって外に出ました。小1時間ほどして帰ってきたら、段ボール箱の中から子猫が顔を出したので、ケージから外に出しました。

 猫ジャラシで遊んであげると、ものすごい勢い走り回ります。その走り方がまるでネズミのようなので、名前をネズミにしようと思いました。美子ちゃんはキジコにするとか言っていたけど。(つづく) 

第1回 マキ・キュー

第2回 猫の駆け引き

第3回 ネズミのような猫

第4回 黒ホッカおじさん

第5回 騒々しい庭

第6回 猫に話しかける

第7回 チーコ物語

第8回 猫の乗っ取り

第9回 ねず美ちゃんの母性

第10回 猫の癒し