10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義 ログイン 会員登録
DATE/ 2018.07.06

年齢でみる「日本の社長」の実像

 国内では深刻な高齢化が進み、大きな社会問題になっています。

 国内最大級の企業情報データベースを保有する帝国データバンクが、約147万社の企業概要を収録したデータベース「COSMOS2」(2018年1月時点)から、企業の社長のデータを抽出し、約97万社分の集計と分析を行った、「全国社長年齢分析」を発表しました。

 結果から、全国の社長にも、「高齢化」の波が押し寄せて来ていることが見えてきました。

社長も高齢化?平均年齢は59.5歳

 まず社長の平均年齢を見てみましょう。社長の平均年齢は59.5歳で、前年比+0.2歳で過去最高を更新しました。

 さらに社長の平均年齢を、業種別(建設業、製造業、卸売業、小売業、運輸・通信業、サービス業、不動産業:計7業種)に見ると、「不動産業」が61.5歳で最も高く、他業種と比べて70代(21.4%)と80歳以上(7.6%)の割合が高い結果が出ています。

 一方、「サービス業」は30歳未満(0.4%)と30代(5.7%)の割合が他業種と比べて高く、社長の平均年齢が最も低い58.1歳という結果でした。

 なお、社長生年の元号別に見ると、大正生まれの社長は「不動産業」が上位を占め、昭和生まれの社長は「建設業」が上位を占めました。他方、平成生まれの社長は、「サービス業」の細分類である「ソフト受託開発」の構成比が最高となる結果が出ました。

業種別社長年齢で考察する、国内産業の盛衰

 社長の平均年齢を業種細分類別に見ることにより、国内産業の興隆と衰退を考察することができます。

 社長の平均年齢を業種細分類別に見ると、最も平均年齢が高かったのは「貸事務所業」で65.47歳でした。ほかにも上位には、「土地賃貸」(65.34歳)などの不動産業や、「ゴルフ場」(64.97歳)、「駐車場業」(64.38歳)、「写真DPE業」(64.22 歳)などが見られました。

 このことから、大規模な設備投資や不動産所有など比較的多大な資産が必要な職種も同様に、「写真DPE業」のように衰退している業種の社長も平均年齢が高いことがわかります。

 一方、平均年齢が最も低かったのは「児童福祉事業」の46.41歳で、平均最高齢の「貸事務所業」との差19歳でした。ほかにも平均年齢が低い業種には、「通信付帯サービス」(48.19歳)、「知的障害者福祉事業」(50.77歳)、「各種商品通信販売」(51.25歳)、「中古自動車卸」(52.01歳)など、「サービス業」の割合が多い結果が見られました。

 「サービス業」は他業種に比べて大規模な設備投資を必要としない業態も多く、起業しやすい一面があります。なかでも「ソフト受託開発」は、上記の理由に加えて開発キットが普及していることなどから業界に参入しやすいこともあり、平成生まれの社長がいる企業が多い一因となっているそうです。そのため、今後ますます興隆してくる可能性が考えられます。

高齢化と少子化が企業や社会に及ぼす影響

 日本経済大学大学院・特任教授の後藤俊夫氏によると、日本には100年以上続く老舗企業が約2万500社あり、世界一の長寿企業国だといいます(『週刊ダイヤモンド』2018年4月14日号)。

 さらに世界全体の長寿企業ランキングのトップ10のうち、9社を日本が占めています(9位がドイツ企業)。また後藤氏によると、世界の長寿企業ランキングの上位は、全てファミリー企業だそうです。

 しかし、高齢化や少子化の影響は、ファミリー企業にも影響を及ぼしているといえます。例えば、創業が西暦578年の世界最古の企業・金剛組(建築業)も、39代当主が後継者不在のまま89歳で死去したため、当主不在の状況になっています。

 社会や社会を構成する一人ひとりが変化していけば、企業の形態や産業の隆盛のみならず、社長の役割や年齢も変わって行かざるをえないことでしょう。今後どう変わっていくのでしょうか。気になるところです。

<参考文献・参考サイト>
・『週刊ダイヤモンド』(2018年4月14日号、ダイヤモンド社)
・帝国データバンク:全国社長年齢分析(2018年)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p180106.pdf
(10MTV編集部)