テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
DATE/ 2015.04.06

あなたの仕事は大丈夫?消える11の職業

今後20年以内に労働者の半分は失業する?

 今後20年以内に、現在ある雇用の約47%は消滅する可能性がある。そんな研究が世界を震撼させている。オックスフォード大学の人工知能の専門家、オズボーン准教授によるものだ。

 なぜ人工知能の専門家が、労働問題を?

 それは、雇用の消滅する理由がコンピューター化だからである。今、コンピューターの加速度的な進化により、人間にしか出来なかったことが、どんどんロボットにも出来るようになってきている。47%というのはアメリカにおける予測だが、ロボット技術の進んだ日本では、もっと機械化され、より多くの雇用が消滅するということも考えられる。

最もなくなりやすい職業は?

 同研究でロボットに置き換えられる可能性が90%以上と判定された仕事の例をいくつかあげてみよう。

  ・レジ係
  ・レストランの案内係
  ・データ入力
  ・仕立て屋
  ・塗装工や壁紙職人
  ・銀行の融資担当
  ・義歯制作の技術者
  ・眼鏡やコンタクトレンズの技術者
  ・弁護士助手
  ・会計事務
  ・給与計算の担当者

 例えばデータ入力だが、現在、人間が目や耳で読み取り、キーボードで入力するという仕事が主なかたちだ。インタビューや会議などの音声、書類や図などでも、今後、自動読み取りの精度が向上しているので、機械が人間の何倍ものスピードでこなしていく可能性がある。

 同じように、弁護士助手の仕事である裁判資料の読み込みと精査も、機械が一瞬で読み取り、分析するので、必要な資料を弁護士に渡すという形で置き換わってしまう。その他、現在手作業で行っている繊細な歯科技工士のような義歯制作のような仕事も、患者ひとりひとりに合わせた最適のものを、3Dデータさえ打ち込んでしまえば、3Dプリンタやレーザーの削り出しですぐに出来てしまうようになる。

 レジもセルフレジシステムなどで既に自動化され始めているが、今後は買い物カゴをセンサーに通すだけで一瞬の内に会計できてしまうというような技術に置き換わっていくことも予測されている。レジの行列は、すこし先の未来では過去の光景になってしまうかも知れない。

 レストランの案内という人間的な仕事も、既に一部は自動化されている。テーブルのタッチパネルや自動予約システムがそれだ。今後はより進化し、細やかな注文やクレームに対応できるようになるだろう。

 その他、コールセンターの仕事も、人工知能の導入が始まっている。人間では学習が間に合わない膨大なデータと客の要望を一瞬でつき合わせ回答するだけではなく、客の性格を読み取り、相手に合わせた会話も出来るようになると言われているのだ。合理的な客には論理的な、感情的な客には共感的な態度で接するといった具合だ。いつの日からか、気付かぬうちに電話の向こうの人間が機械に置き換わっているかも知れない。

知的エリートの仕事も例外ではない

 弁護士助手だけではなく、弁護士、医者、証券マンなど、知的エリートと言われている人々の仕事も危うい。法律の専門知識を活かしたアドバイスも、コンピューターなら最適な法律、事例、判例を一瞬で提示してくれるだろう。

 最初は人間に及ばないかも知れないが、機械は猛烈なスピードで学習する。また、人間のように衰えたり、世代交代するということもない。一部の超優秀でクリエイティブな法解釈や、交渉を行える弁護士以外は残らないかも知れない。

 医者も同じだ。医学的知見の膨大なデータベースはひとりの医者の中にはとても入らないが、コンピューターなら別だ。また、証券マンの世界は既にコンピューター化が進んでいて、人間にはとても追いつかない、1000分の1秒単位で株の売買を繰り返す超高速取引というシステムで機械が人間よりも稼いでいる。

クリエイティブな仕事は機械化できない?

 しかし、オズボーン准教授は、これは人間にとって歓迎すべき未来だと言っている。機械化によって生み出された時間で、よりクリエイティブで高度な仕事に打ち込めば良いという。

 確かに技術革新は、これまで多くの失業を生んできた。それらは技術的失業と言われる。例えば、19世紀の産業革命。織物や脱穀など、様々な工程が機械化し、多くの職人や農民が経済的打撃を被るといったことが実際にあった。

 しかし、しばらくするとそれまで無かった新しい仕事が登場し、その埋め合わせをしてきた。現代の技術的失業はコンピューターによるものなので、得意な単純な作業やデータ照合はコンピューターにまかせ、コンピューターに出来ない、よりクリエイティブで高度な仕事をすれば良いというわけだ。しかし、それは本当だろうか?

 例えば、エミーという作曲プログラムがある。バッハやベートーベンの名曲を学習させ、それらの曲に似た新曲を自動的に創造するシステムだ。このエミー、人間のプロの作曲家のそれぞれの作品を、作曲者を伏せて聴衆に聴かせ、どちらが人間の手によるものかを当てさせるという試みが行われたことがある。すると、エミーの作品を人間の手によるものと判断した人の方が多いという結果が出てしまったのだ。

 確かに、バッハやベートーベンのような名曲を一から生み出すことはエミーには出来なかっただろう。しかし、それは多くの人にとっても同じことではないだろうか。まったく新しいものを創り出す才能は、ごく一部の人々の仕事で、その他大勢はそれを真似したり、アレンジしたりすることくらいしか出来ない。

 そういう意味では、画家や漫画家、振付師、歌手など、人間の感性に基づいた芸術関連の職業はなくなりにくいと言える。

クリエイティブだけではなく、人間関係がキーワード

 職業は人々のニーズによって成り立つ。ほとんどの仕事は機械の方が上手くやってのけるかも知れないが、だからといって必ずしも、上手いだけの仕事を人々が欲しがるとは限らない。

 例えば、マッサージの仕事。マッサージ機が高性能化しても、血の通った人の手で直接触れて欲しいといった需要は続くかも知れない。美容師などの仕事も同じだろう。

 ドライバーの仕事も、今後自動運転技術が普及すると仕事は減っていくだろうが、運転手との会話を楽しみにしている客がいなくなるわけではない。つまり、コミュニケーションの部分は、ニーズとして残るのだ。

 もちろん、無愛想だったり、横柄だったりする接客をしていれば、今後真っ先に失業するだろう。しかし、その逆であれば、どんな仕事もコンピューターに代われない仕事になる可能性がある。人間関係を重視するソーシャルな仕事も十分に生き残る可能性があるのだ。

あわせて読みたい