10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義 ログイン 会員登録
DATE/ 2016.12.12
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日本には“破壊型イノベーション”が足りない

 “イノベーション”という言葉が注目されて久しい。画期的な技術や創造的なアイデアから新たな価値を生み出し、社会に大きな変化を起こすことだ。日本企業のイノベーションを増やすことが日本経済の成長に直結する。その意味で、今後も重要なキーワードであり続けるだろう。

 イノベーションは、大きく二つに分類できる。“改良型イノベーション”と“破壊型イノベーション”である。改良型イノベーションとは、既存ビジネスの延長線上で品質やコストを改良するもので、大企業が得意とし、日本企業も盛んに行っている。

 対する破壊型イノベーションとは、既存の技術やビジネスを破壊して、まったく新しいものに置き換えてしまう行為で、ベンチャー企業や中小企業が得意としている。AppleのiPhoneなどが良い例だ。

 問題は、日本が破壊型イノベーションの面で非常に遅れていることだ、と主張するのは、伊藤元重氏(経済学者、東京大学大学院経済学研究科教授)である。

 「今後、破壊型イノベーションを生み出すパワーを国内に持てるかどうかが、日本経済にとって非常に大きな意味を持ちます」と伊藤氏は言う。(『10MTV』収録「破壊型イノベーションの必要性」より)

 では、なぜ日本では破壊型イノベーションが起きにくいのか。それは、リターンの低い中小企業が比較的長く存続できる産業構造になっているからだ。アメリカならとっくに撤退や倒産してもおかしくない中小企業でも生き延びられてしまう、ぬるま湯の環境こそが、最大の原因である。

 また、これまでの中小企業の経営者は、金融機関から個人保証を求められた。そのため、企業を潰すに潰せない側面もある。さらに言えば、経営者が2回、3回と再チャレンジできる環境が整っていないことも大きな問題だ。

 バブル期以前、欧米経済をキャッチアップしていく段階では、破壊型イノベーションにおける弱点は大きな問題にはならなかった。しかし、欧米と同列で競争しなくてはならない現状では、致命的な欠点といえる。

 今後、日本経済を持続的に成長させていくためには、中小企業・ベンチャー企業のあり方を見直し、破壊型イノベーションを活性化させる必要がある。

(10MTV編集部)