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DATE/ 2015.10.20
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チャンス広がる~イスラム教徒向け飲食ビジネス

 8月までの統計(日本政府観光局調べ)で既に今年の訪日外国人観光客は1287万人に到達。過去最高を記録した2014年の1341万人突破をほぼ確実にしているが、爆買いする中国人が話題となる一方で、イスラム教徒(ムスリム)を対象としたビジネスで避けては通れない「ハラル」も今注目を集めている。

 ハラルとはイスラム法で合法なものを意味する。医薬品や化粧品、衣服など生活の中での様々な物品に取り込まれているが、中でも食品について指すことが多い。マレーシアの国際貿易産業省が06年に発表した第3次工業化マスタープランによると、ハラル食品の市場規模は年間5470億ドル(約65.6兆円)、食品以外を含めると2兆1000億ドル(約252兆円)にまで達すると見込まれている。

 ムスリムの人口は世界で16億人超。ハラル市場規模がそれだけ大きくなるのも当然だ。イスラム教徒が多い国というと中東のサウジアラビアやイランなどをイメージするかもしれないが、実は最も多くのイスラム教徒を抱えている国はインドネシア。2億4000万人以上の人口のうち9割以上がムスリムと言われており、隣国のマレーシアと合わせた2国だけで世界のムスリムのうち約14%を占める。

 訪日外国人数の伸びを支えているのは中国、韓国、台湾など東アジア地域だが、マレーシア、インドネシアも堅調に数字が伸びており、特に2020年東京五輪へ右肩上がりが増えていくことは濃厚。だが、問題になるのはまだまだ日本でハラルへの理解が広まっていないことだ。

 ムスリムが豚肉を食べてはいけないということは広く知られているが、鶏肉や羊肉も処理の仕方が決まっており、キッチンや食器もハラルフード専用のものを用意しないといけない。ではムスリム観光客は異国の地でどうやって適切な店を選ぶのか。頼りになるのは食材や環境など「ハラルである」ことを証明する「ハラルマーク」だ。ムスリム観光客を受け入れる上でこの「ハラルマーク」が肝となってくる。

 日本国内では宗教法人日本ムスリム協会やNPO法人日本ハラール協会などがハラルの認証を行っている。具体的にはそれぞれの規格に合わせ食品の材料や過程を監査し、適合するものにハラルマークを与えている。だが、まだまだ日本ではハラルマークを掲げた店舗は多くないのが実情だ。ただ、まだ環境が整っていないということは逆にチャンスだとも言える。

 和食を始めとした日本の食事に興味があってもハラルマークがないから心配で食べられない、旅行会社としても選択肢が限られる…。そうした中でホテルや飲食店がハラル認証を受ければ、先行者利益を得るチャンスに直結するだろう。ハラル認証のある飲食店を一覧にしたアプリを作ってみても面白いかもしれない。コメントや評価機能もつければ「ムスリム版食べログ」だ。

 日本国内でも市場拡大が見込まれる、けれどまだ環境は整っていない。こんなにおいしいビジネスチャンスはなかなかない、とも言えるのではないだろうか。

(10MTV編集部)