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DATE/ 2016.02.29

素人だらけの寿司屋がミシュランに選ばれたそのワケとは?

「飯炊き3年、握り8年」とも言われるように、一人前になるには長い修行を必要とする寿司職人。でも、たった2~3ヶ月で一流の技術が身に着くとしたら…?そんなコンセプトの学校が今注目を集めている。

数カ月で技術が身につく秘けつは「実戦」

 寿司職人養成学校「東京すしアカデミー」は2カ月、「飲食人大学」は3カ月と、それぞれ短期間でプロの技術を叩き込むコースを用意している。単に形ばかりの授業をするだけではない。ちゃんと結果も残している。

 東京すしアカデミーは2002年に創立されてからこれまでに3000人以上の職人を輩出。現役の生徒が店に立つ「誠寿司」「神楽坂すしアカデミー」(ともに東京都新宿区)は予約がなかなか取れないほど盛況だ。飲食人大学の卒業生と生徒が切り盛りする「鮨 千陽」(大阪市福島区)は開店からわずか11カ月でミシュランガイドに掲載された。

 伝統的な寿司職人の修業の場合、最初は下積みで包丁さえ握らせてもらえないこともある。それに対し両校が重視するのは実習。東京すしアカデミーの場合、8週間のコースでも合計200時間の実習があり、一般的な調理専門学校が年間で行う調理実習の時間より多いという。飲食人大学も魚のさばき方、寿司の握り方はもちろん、鮮魚の買い付けやコースの組み方、実店舗での実践実習など本番で役立つ技術や知識が徹底的に叩き込んでくれる。

 元ライブドア社長で実業家の堀江貴文氏は「開店からわずか11ヶ月…素人だらけの寿司屋がミシュランに選ばれた理由」というタイトルの記事を引用し、「こういう事実があっても下積み原理主義者や時間を掛けて修行をしないと原理主義者は『なにか大事なものが欠けてるのでは?』などと揶揄したりする。多分大事なものが欠けてるのはお前らの脳だと思うよ。俺は」とツイート。下積みを極端に重視する風潮を痛烈に批判した。

すし職人志望者が殺到するワケとは

 飲食人大学大阪校は4月スタートの寿司職人養成講座が既に満席。7月スタートの講座も残席わずかとなっている。これだけ人気を集める理由の1つとして、寿司が海外でも広く受け入れられているということが挙げられるだろう。というのも、寿司店に限らないが海外の日本料理店は玉石混交。日本人が食べたらとても日本料理とは呼べないような代物を出す店だってある。

 それだけに、寿司職人として技術を習得し、さらに“本場”の日本人であるということもあいまって高待遇を用意している海外の飲食店も少なくない。いきなり月収3~40万を見込める求人もある。日本ではなかなかそうはいかないだろう。

 海外での需要の高まりを受け、「東京すしアカデミー」ではオプションの授業として英会話の特別レッスンも用意されている。今や寿司職人は世界に通じる「マイスター」なのだ。

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