テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.09.09

「できちゃった婚」率が高い都道府県とは?

 少子化が社会問題化して久しいですが、都道府県で子どもたちを取り巻く状況は違うのでしょうか? 今回は「子ども」にスポットを当てて、統計数字を見ながら、都道府県別の特徴を調べてみました。

少子化の日本で子どもがたくさん生まれている県はどこ?

 内閣府が発行する「少子化対策白書」によると、2014(平成26)年の出生数は100万3539人。合計特殊出生率(女性が生涯に産む子どもの数)は1.42となりました。過去最低だった2005年の1.26より少しは持ち直したものの、このままでは人口は減る一方です。

 「持たない理由」の第一位は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(2010年調べ)でしたが、実際に子どもがたくさん生まれている都道府県はどこなのでしょうか。2014年の都道府県別合計特殊出生率を見てみましょう。

<出生率>
高い5県:沖縄県、宮崎県、島根県、長崎県、熊本県
低い5県:東京都、京都府、奈良県、北海道、宮城県

 ちなみに「デキ婚率」は、厚労省の人口動態を見ると分かります。「結婚期間が妊娠期間より短い出生数」という項目があるからです。2009年のランキングは、以下の通り。

<デキ婚率>
高い5県:沖縄県、佐賀県、福島県、青森県、熊本県
低い5県:東京都、神奈川県、京都府、滋賀県、愛知県

 デキ婚が地方に多く都市部に少ないのは、都市部では親世帯にも余裕がないからかもしれません。

子育て世帯の年収を県別に調べてみると?

 子育て世帯の年収については、全国消費実態調査を見ると、県ごとの動向が分かります(2009年)。

<子育て世帯の年収>
上位5県:東京都、福井県、栃木県、神奈川県、愛知県
下位5県:沖縄県、鹿児島県、高知県、熊本県、北海道

 全国平均が約704万円(2009年)と高いのは、共働きの場合は夫婦の年収が合計されているから(三世代家族は含まず)です。もっとも年収が高い東京都では約823万円、もっとも低い沖縄県では約471万円。「お金がかかる」から頑張って「お金を稼いでいる」様子が分かりますね。兄弟姉妹の数については、2010年国勢調査を見ると分かります。

<兄弟姉妹の数>
多い5県:沖縄県、佐賀県、島根県、鹿児島県、宮崎県
少ない5県:東京都 神奈川県、千葉県、秋田県、埼玉県

 沖縄県をのぞくと、「子育て世帯」が多いのは東日本、「兄弟姉妹数」が多いのは西日本。西日本は子育て世帯は少ないが、兄弟姉妹は多い。東日本は子育て世帯は多いが、兄弟姉妹は少ないという特徴があるようです。

子どもたちが「幸せ」だと感じているかどうかがやはり問題

 ところで、子どもたちが幸せかどうかを表す統計はあるのでしょうか。例えば下に挙げた「自己肯定率」とは「自分には、よいところがあると思う」という質問に、「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」と答えた小学6年生の割合を比較したものです。

<小学生自己肯定率>
上位5県:秋田県、福井県、広島県、群馬県、静岡県
下位5県:香川県、宮城県、福島県、沖縄県、北海道

 これは、文部科学省の「全国学力テスト」に設けられた生活習慣全般のアンケートによるものです。ほかにもいくつか幸せ度を表しそうな設問をピックアップしてみました(いずれも2015年)。

<小学生家庭内会話率>
上位5県:秋田県、埼玉県、山梨県、山口県、宮崎県
下位5県:沖縄県、佐賀県、石川県、福井県、徳島県

<中学生チャレンジ精神率>
上位5県:秋田県、山梨県、広島県、栃木県、新潟県
下位5県:熊本県、愛知県、徳島県、兵庫県、奈良県

<中学生学校快適率>
上位5県:秋田県、長崎県、福井県、山口県、熊本県、山梨県(山口、熊本、山梨は同率)
下位5県:北海道、高知県、青森県、大阪府、香川県

 すべて自己申告によるものですが、秋田県の子どもたちが楽しそうで積極的な姿勢が目立ちます。

学力・体力ともにすぐれているのは福井県の子どもたち?

 さて、それでは「全国学力テスト」の正答率を見ることにします。全国学力テストは小学6年生と中学3年生を対象に行われているテストです(2015年調べ)。

<「全国学力テスト」の正答率>
上位5県:秋田県、福井県、石川県、富山県、青森県 
下位5県:沖縄県、滋賀県、佐賀県、大阪府、高知県

 正答率の全国平均は61.7パーセントで、トップの秋田県では正答率が67.8パーセントにのぼります。逆に正答率のもっとも低い沖縄県では、58.5パーセントの正答にとどまりました。ただし、この正答率は公立校のみの集計なので、国立・私立校の多い地域では実態と離れている可能性があります(ちなみに2011年のデータですが、中学校「お受験」の多い都道府県は、東京都、高知県、奈良県の順、少ないのは山形県、岩手県、秋田県です)。

 最後に「体力テスト」の結果も見ておくことにしましょう。文部科学省が実施している「全国体力・運動能力、運動習慣調査」から小中学生を男女に分けた、県別体力ランキングが分かります。対象は小学5年と中学2年。調査項目は、握力や上体起こし、50メートル走、ボール投げなど、おなじみの項目です(2010年調べ)。

<男子小中学生体力テスト>
上位5県:福井県、秋田県、千葉県、新潟県、茨城県
下位5県:大阪府、奈良県、北海道、東京都、徳島県

<女子小中学生体力テスト>
上位5県:福井県、茨城県、新潟県、埼玉県、千葉県 
下位5県:北海道、福岡県、大阪府、奈良県、神奈川県

 学力・体力ともに優れた福井県の子どもたち、将来が楽しみですね。ちなみに福井県の「子育て世帯年収」は全国2位の約817万円、合計特殊出生率は1.55で上から12番目となっています。

<参考サイト>
・都道府県別統計とランキングで見る県民性
http://todo-ran.com/
・内閣府ホームページ(少子化社会対策白書 平成28年版)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28pdfhonpen/28honpen.html
・文部科学省ホームページ(平成27年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」)
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/kodomo/zencyo/1266482.htm
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授