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DATE/ 2016.10.23

20~40代の正社員600人聞いた長時間労働の実態

 自分は人より働き過ぎ?それとも楽をしている方?ウチはブラック企業に当てはまるの?そんな疑問を覚えたことのある人も多いのではないでしょうか。

 そこで、今回は気になる「長時間労働」に関する実態を、インターネットを用いた最新調査からまとめてみました(株式会社マクロミルの調査より/調査対象:20代~40代の正社員600人、調査日時:2016年7月25日~7月27日、調査地域:全国)。

ブラック企業の境目はどこにあるの?

 「ブラック企業」が流行語大賞にノミネートされたのは2013年。「知恵蔵2015」によると、「労働者を酷使・選別し、使い捨てにする企業」。主な特徴は過重労働、長時間労働、不規則な勤務時間で、重たいノルマ、パワハラやセクハラが伴うこともしょっちゅうです。

 もとは暴力団系の会社などを指す言葉でしたが、現在では企業規模や知名度とは関係なく、グローバル化やダウンサイジングに伴うブラック化を進行させる企業が増えているようです。

 明確な定義はないものの、「合法か否か」の境目をはるかに超えた「劣悪な労働」「峻烈な選別」「非情な使い捨て」が特徴。入社3年以内の離職率の高さや社員の年齢構成(30~40代が極端に少ない等)が一つの指標とされています。

働き方は多様化している?

 本来、日本では1週間に40時間・1日あたり8時間(休憩時間を除く)を超える労働は認められていません。また、10人未満の職場では、かなり多く(卸売・小売・理美容・旅館・飲食店・病院・診療所等)の業種が特例を認められているとはいえ、1週44時間が上限です。

 20代~40代の正社員600人に聞いた結果では、「一年を通じて始業・終業時刻が固定されている」人が68.5パーセントで1位、「区切られた業務時間内を交代で勤務(シフト制など)」する人が16.3パーセントで2位、「時期や自分の意志で始業・終業時刻が変動する(フレックス制など)が9.5パーセントで3位というものでした。また、「裁量労働制」など定められた勤務時間のない人も4.3パーセントいます。専門職やクリエイティブな仕事など、労働時間とその成果が直結しない職種などがこれに当たりますが、残業代カットの方便としても使われていることが多いと言われます。

残業は「なるべくしたくない」がみんなの本音!

 残業に対する姿勢を聞いてみたところ、「なるべく残業はしたくないが、どうしても必要な場合は仕方がない」とする人が42.2パーセントで1位です。これに「多少は残業してもいい」32.8パーセント(2位)、「積極的に残業したい」6.8パーセント(4位)を合わせると、残業を受け入れる姿勢が8割以上に上ることがわかります。

 しかし、一方で残業をどう考えているかについては、「仕事ばかりでプライベートの楽しめない人生はもったいない」と答える人が84.3パーセントで圧倒的。「残業を考慮に入れて仕事の計画を立てるのは間違っている」や「長時間労働が習慣化している日本はおかしい」という人もほぼ80パーセントを占めます(複数回答)。

結局みんなはどのぐらい働いている?

 今回の調査は20代~40代の正社員600人が対象でしたが、残業時間の実際は、6割以上が「月間20時間以内」、8割以上が「月間40時間以内」となっています。細かく見ると「1~20時間」が65.6パーセントで1位、「21~40時間」が20.1パーセントで2位、41時間を超える人は残りの14.3パーセントにとどまっています。

 答えを働き盛りの40代に絞っても、1位「20時間以内」68.9パーセント、2位「21~40時間」17.4パーセント、3位「41~60時間未満」6.1パーセントでした。残業時間は、やはり減る傾向が明らかです。

 ちなみに会社を出る時間は、17時台から19時台に退社する人が7割を占めています。「残業で遅くなったよ」の言い訳、もう家庭では通じにくい時代なのかもしれませんね。

<参考サイト>
・ホノテ 
http://www.macromill.com/honote/
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