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21世紀構想懇談会で進言した「侵略」の定義

戦後70年談話所感(2)歴史的文脈で語る重要性

山内昌之
東京大学名誉教授/歴史学者/明治大学研究・知財戦略機構国際総合研究所特任教授
情報・テキスト
21世紀構想懇談会による報告書を受け取る安倍総理(2015年8月6日)
首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201508/06_21c_koso.html)より
毎日新聞2015年8月13日(木)朝刊には、「戦後70年首相談話に望む(4)負の歴史 向き合って」と題して、歴史学者・山内昌之氏のインタビューが掲載された。聞き手は政治部松本晃記者。ここで山内氏が触れたことは、どの程度談話と照応しているのだろうか。(全4話中第2話目)
時間:09:47
収録日:2015/08/19
追加日:2015/09/10
21世紀構想懇談会による報告書を受け取る安倍総理(2015年8月6日)
首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201508/06_21c_koso.html)より
毎日新聞2015年8月13日(木)朝刊には、「戦後70年首相談話に望む(4)負の歴史 向き合って」と題して、歴史学者・山内昌之氏のインタビューが掲載された。聞き手は政治部松本晃記者。ここで山内氏が触れたことは、どの程度談話と照応しているのだろうか。(全4話中第2話目)
時間:09:47
収録日:2015/08/19
追加日:2015/09/10
≪全文≫

●「侵略」の定義を進言した21世紀構想懇談会


 皆さん、こんにちは。

 今日は、戦後70年を迎えた、そうした日にあたって出された首相談話についての私の所感を引き続き述べてみたいと思います。

 毎日新聞のインタビューは、「21世紀構想懇談会の委員として報告書をまとめる議論に参加されました。首相に特に参考にしてもらいたい点はどこですか」というのが、第二の問いでありました。これに対して、私は次のように答えました。そのまま引用すると、こうです。

 “満州事変以降の重い歴史に向かい合うことである。報告書で用いた「侵略」という言葉は、侵略を受けた被害者の深い傷を思い反省するという内容も伴っており、懇談会の圧倒的多数派、16人中14人が史実に正面から向き合う考え方をした。そこを尊重してほしい。”

 このように私は答えたのです。こうした希望は、ほぼかなえられたと言っていいかと思います。


●史実を歴史的文脈でとらえるという必要性


 首相の言葉を借りますと、こうです。

 「満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした『新しい国際秩序』への『挑戦者』となっていった。進むべき進路を誤り、戦争への道を進んでいきました」

 この安倍首相の表現は、懇談会報告書の内容と精神を生かした表現です。満州事変以降の日本帝国陸軍による大陸進出と、軍部主導の大陸の占領地経営を「侵略」と定義し、国際秩序への挑戦者と捉えた見方は、21世紀構想懇談会の見解、すなわち私たちの見解に極めて近いものです。

 他方、首相の表現には満州事変以降の大陸進出について、具体的に「侵略」と捉えているのかどうか定かではない部分もあります。おそらく中国政府や中国の世論からすれば、いずれこのあたりが不十分だという形で彼らは批判、あるいは指摘する可能性が高いかと思います。

 しかしながら、首相談話における、日本が植民地化される危機への対応や、近代化の性格、そして近代化のプロセスについての表現は、懇談会、すなわち私たちが常に問題をイデオロギーではなく歴史的文脈で具体的に捉える必要性、具体性を強調してきた提言の数々を受けているものです。


●各国にも評価された「感謝」の念


 しかも、懇談会報告、私たちの報告自体にはなかった観点として、次のような表現で、関係国による兵士たちの復員、日本への帰国への協力や、あるいは捕虜にされたときの扱いの寛大さや、慰霊の事実に感謝したのは、委員として大変高く評価できる点です。首相の表現は、こうです。

 「戦後600万人を超える引き揚げ者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実」を評価したいということを、安倍首相はをおっしゃりたいのです。続いて、「中国に置き去りにされた3000人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれた事実を」と、述べました。そして、首相は続けます。「戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか」

 このように明示的に表現し、先のおわびに関わる表現に続いて、感謝の念を表しているわけです。アメリカや...
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