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日本経済への期待感の醸成は評価。でも・・・

いまアメリカが日本に問う(3)安倍政権1年目の評価と今後の課題

GeraldCurtis
政治学者/コロンビア大学名誉教授
情報・テキスト
株価上昇など、日本の復活を印象づけたことで、安倍政権1年目を評価するカーティス氏。しかし今年に入り、外国からの反応は一転、アベノミクスへの期待感が失望感に変わりつつある。果たしてその理由とは。そして今後の課題は。
時間:11:13
収録日:2014/03/06
追加日:2014/03/27
株価上昇など、日本の復活を印象づけたことで、安倍政権1年目を評価するカーティス氏。しかし今年に入り、外国からの反応は一転、アベノミクスへの期待感が失望感に変わりつつある。果たしてその理由とは。そして今後の課題は。
時間:11:13
収録日:2014/03/06
追加日:2014/03/27
≪全文≫

●“Japan is Back”を実感した安倍政権1年目


安倍(晋三)さんが今回総理大臣になられた2012年12月の2ヶ月ぐらいあとに、ワシントンにいらっしゃいました。そのときに、あるシンクタンクで演説をされたのですが、テーマは、“Japan is Back”でした。“Japan is Back”、つまり「日本は復活してきた」と言われたのです。
ぼくはそれを聞いていたのですが、いや、ちょっと待って、“Japan is Back”というのは少し尚早ではないかと思いました。
たしかに、“Abe is Back”だけれども、まず、いつまで総理大臣を続けられるのか。ワシントンへ行ってオバマ大統領に会った総理大臣は、実は彼が5人目。麻生(太郎)さんに始まって、 鳩山(由紀夫)、菅(直人)、野田(佳彦)、そして今回の安倍さんです。
ですから、オバマさんから見れば、「また日本の新しい総理が来てくれるけれども、いつまで総理なのか。また1年で終わるのではないか」と感じてしまうわけです。 安倍さんは、日本の経済を抜本的に改革すると言うけれども、本当にそれができるのか、非常に疑問を持っていたのです。
自民党が政権を取り戻した2012年12月の選挙ですが、実はその3年前、民主党に大敗したときの得票数より少なかった。それゆえ、自民党はすばらしいとか、安倍さんにどうしても総理大臣になってほしい、と国民が思っていたということではなく、とにかく民主党に対しての失望感が非常に強かったのです。それで野党がばらばらになり、自民党は運よく勝ったわけです。
そのとき石破(茂)幹事長が、なかなかいいことを言うなと思ったのは、選挙結果が出た夜にテレビに出られて、「この選挙はわれわれ自民党が勝ったのではなく、ただ民主党が負けただけの話であって、支持を得られるかどうかは、これからの問題である」と話されたのです。
日本人はそういう謙遜する言葉が好きですが、本当にそのとおりです。そう考えると、この1年3ヶ月ぐらいで“Japan is Back”でしたね。国民にも「これで経済がよくなるのではないか」という期待感があり、外国の投資家も“Japan is Back”だから日本株を買おうと、日経平均が何年ぶりかの高い水準になったりしています。ぼくは、その点で 安倍さんを非常に評価します。

●アベノミクスへの期待感が失望感に変わりつつある理由


ただ、それは今までのことであって、ではこれからアベノミクスはどうなるかということになると、また疑問視する人が急速に増えているのです。
今年の1月になってから、外国人の日本株を売る動きが強まっているでしょう。それで、株価が下がっていますよね。外国から見れば、問題は、「いわゆる3本目の矢がないのではないか」「成長戦略・構造改革は、大したことはないのではないか」ということ。つまり、過剰な期待感が、今はどうも過剰な失望感に変わりつつあるということです。
ぼくは、その責任が安倍総理自身に非常にあると思います。3本目の矢を売り込みすぎたからです。
というのも、日銀がインフレターゲットをもって動き出せば、結構ショートターム、すっぱりとすぐに、すごいインパクトを与えますよね。あるいは、政府が借金をして国債を出し、政府の予算を増やしてばらまけば、それはやはり成長につながります。ただ、3本目の成長戦略・構造改革というのは、いくらなんでも、ある程度の時間がかかることです。にもかかわらず、「3本目の矢で日本の経済はよくなる」という、ある意味で非...
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