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知れば知るほど不可解! 日本の商業捕鯨の禁止

ニッポンの食文化が危ない(3)クジラと日本人

小泉武夫
農学博士・食文化評論者/東京農業大学名誉教授
情報・テキスト
食文化論者で農学博士の小泉武夫氏が、捕鯨問題を食文化の観点から論じる。商業捕鯨を厳しく禁止されている日本だが、捕鯨の世界では新たな問題が発生し、また理不尽な事実も横行している。もはや、クジラは政治の道具に使われていると憂える小泉氏による、クジラと日本の食文化を守るための熱血講義。(全3話中第3話目)
時間:09:59
収録日:2015/08/31
追加日:2015/10/15
食文化論者で農学博士の小泉武夫氏が、捕鯨問題を食文化の観点から論じる。商業捕鯨を厳しく禁止されている日本だが、捕鯨の世界では新たな問題が発生し、また理不尽な事実も横行している。もはや、クジラは政治の道具に使われていると憂える小泉氏による、クジラと日本の食文化を守るための熱血講義。(全3話中第3話目)
時間:09:59
収録日:2015/08/31
追加日:2015/10/15
≪全文≫

●今、世界でクジラはどんどん増えている


 皆さん、こんにちは。小泉武夫です。食文化論、発酵学をやっています。

 私は、小さい時からクジラの肉が大好きで、よく食べました。いっぱい食べましたよ。そこで私は、クジラというものをどうして今、こんなに食べられなくなったかということをお話したい。

 私は、「クジラ食文化を守る会」の会長です。「クジラを捕って食べるべきです。クジラは日本人を救います」という概念で今、動いています。クジラはなぜ捕ってはいけないのか。実は、国際捕鯨委員会(IWC:International Whaling Commission)というものがあり、そこに科学委員会があります。その科学委員会で、世界のクジラの数を調べる調査捕鯨をやっているわけですが、今、地球上にものすごくクジラが増えているのです。

 これは、私の書いた『鯨は国を助く』(小学館)という本なのですが、これに「IWC科学委員会が推定した鯨類の資源量」が書いてあるのですね。見ますと、今、ミンククジラは南半球で76万1000頭とあります。後はグリーンランドなどで10万頭以上おり、合わせると80万頭以上いるのです。それから、ナガスクジラ3万頭。コククジラ2万6000頭などで、とにかくものすごいのです。ゴンドウクジラだと78万頭います。


●商業捕鯨禁止で人間の食べる魚が減っている


 実は今、大きな問題があり、そのクジラが人間の食べる分の魚をものすごく食べているのです。驚くべき量を食べているわけです。例えば、この写真を見られると、皆さんびっくりすると思いますけれど、調査捕鯨で捕ったクジラのお腹の中の写真なのです。これを見ると、クジラのお腹の中に入っているのは、われわれが食べている魚ばかりということになります。この写真がそうです。これらがクジラのお腹の中にあった魚で、スルメイカ、サンマ、スケトウダラ、カタクチイワシです。

 大体1頭のクジラにドラム缶4本から5本の魚が全部入っているわけです。ですから、最近、アジが捕れないとかサンマが捕れないとか言っているけれど、それは商業捕鯨が禁止されて、クジラを捕っては駄目なため、どんどんどんどんとクジラが増えているからなのです。

 どのぐらいだと思いますか。実は、地球上の人間が食べる1年間の魚の量の4.7倍をクジラが食べていると言われています。このままでいったら、クジラばかり増えて、人間が魚を食べられなくなってしまいますね。実は今アメリカの漁業業者が「もっとクジラを捕って、クジラからわれわれの捕る魚を守ってくれよ」と、そういうことを言っているのです。


●クジラが政治の道具にされている!?


 では、どうしてアメリカは日本にクジラを捕らせないのか。まったくおかしなことを言っていますよ。「クジラは地球上最大の大きな生き物だから、これを保護するということは、やっぱり環境保全のシンボルなんだ」と、こんなことを言っているわけです。

 いや、いや、そうではなく、クジラはこれだけ増えたのです。やはり人間が地球上の中の生命の一番頂点に立った生き物です。確かに捕り過ぎました。われわれは、その過去をしっかりと反省して、生き物としての知恵を生かし、科学調査に基づいて捕ればいい。日本が今、商業捕鯨でミンククジラを捕らせてくれと言っているのは、たった4000頭ですよ。それで解決するのです。

 それなのに、南氷洋には70何万頭いるのです。それを一頭も捕ったら駄目だ...
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