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ゼロスタートのイノベーションは苦労の連続。でも・・・

松下幸之助の人づくり≪1≫真のリーダーとは(7)信念に比例して、賛成者は必ず増える―先駆開拓

松下幸之助
パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者
概要・テキスト
病弱で、学歴がなく、零細企業からスタートというハンディキャップを克服し、天下の松下電器を一から築き上げた「経営の神様」こと松下幸之助。しかし、未踏の地に分け入り、道を切り開く者には、常に生みの苦しみが付きまとう。元パナソニック株式会社代表取締役副社長で公益財団法人松下政経塾理事長兼塾長・佐野尚見氏と松下政経塾第1期生で第95代内閣総理大臣・野田佳彦氏が、それぞれの「先駆開拓」について体験談を交えながら語る。(第1章7話目)
時間:10:26
収録日:2015/06/17
追加日:2015/11/30
カテゴリー:
≪全文≫

●「五誓」の中で一番好きな言葉が「先駆開拓」/佐野尚見


 私は、政経塾に来るまで「五誓」を知らなかったのです。見た瞬間に、一番好きな言葉が「先駆開拓」でした。会社にいたら、この言葉を後ろに貼って仕事したかなと、そんな気持ちになりましたね。

 あの言葉もそうですし、七精神もそうですし、一つ一ついえば、本当にいろんな思いがこもっている言葉です。松下幸之助さんのお話を聞いていますと、七精神というのは、一番大切なのは産業報国であって、あとの六つはそれをカバーする考え方だということです。しかも、それは日本精神そのものであると、松下電器ではそうおっしゃっていました。

 ところが、政経塾に来て、いろいろ聞いてみますと、日本精神とは何かというと、「主座を保つ」とか、「和の精神」だとか、「衆知を集める」とおっしゃっていますね。それから「成功の要諦」。これについて松下電器では何を言っているかというと、成功の要諦というのは、経営理念が共有化されて、そして、生き生きとした組織や風土ができれば、社員が生き生きとして働ける環境ができれば、それは80パーセント成功したといえる、ということでした。

 ですから、事業をやっておられるときの松下さんと、政経塾の人に話す内容とが少し違うのかなと思います。根っこは一緒なのだけれども。


●もはや電器会社のオーナーの発想ではない/野田佳彦


 大きな企業に入ったり、役人になったり、一回切符をつかむと、一定のペースでどこまでハイウェイを走れるのか、と見通せる人生もあるじゃないですか。当時の塾生も皆、本当はそういうことを選択しかかったメンバーばかりだったと思うのです。

 皆、そういう人なのだけれども、「ちょっと待てよ」と。そのハイウェイを走っていくこともいいけれども、自分でツルハシを担いで道を切り開いていくというところにもロマンがあったりする。もちろん相当苦労するだろうけれども、そこには日本のために何かできることがあるんじゃないか、と思った人たちが集まった。その求心力は、やはり松下幸之助という人だったということですよね。

 無税国家から、新国土創成から、それはもう全て電器の会社のオーナーの発想ではないわけです。日本をどうするか。しかも、今の日本だけではなく、200年、300年先を考えて、構想をど真剣に考え抜いていた。その方と年に何回もお会...
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