10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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小売屋さんの商売の価値判断を身をもって知る

松下幸之助の人づくり≪1≫真のリーダーとは(10)犬の尾の振り方からも何かを発見できる―万事研修

松下幸之助
パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者
情報・テキスト
松下政経塾の塾生たちは皆、座学だけではなく、松下電器の工場や販売店で一定期間の実習を経験する。松下幸之助は、この肝いりの実習を通じて、彼らに身をもって何を感じてほしかったのか。この貴重な体験を生かすも捨てるも自分次第、心して見れば犬の尻尾の振り方一つからも何かを悟ることができる!(第1章10話目)
時間:18:02
収録日:2015/06/17
追加日:2015/12/10
ジャンル:
≪全文≫

●座学と実習で必死にもがき、血尿が出た/野田佳彦


 1980(昭和55)年4月に政経塾に入って、6月ぐらいまでは松下さんのお話を聞いたり、関連するお話を聞いたり、ビデオを見たりという、座学なのです。それで、夏に工場実習をして、秋から冬に販売実習をして、今度は外に出て汗をかく研修です。それで、翌年の81年に入ってから、またしばらく座学に戻るのですね。ずっと現場に出ていって、今度は戻って、いろんな課題をもらい、それをレポートで書いていくということをやると同時に、週末は自主研修です。一応、月曜日から金曜日までは政経塾の中での研修と、外の研修があるのですが、土曜、日曜は自分で自主研修です。ある日、用を足した時に、血尿が出たのです。その時ですよ。

 虹のようにきれいに出ましてですね。座学も一生懸命やっていたから、レポートもいっぱいたまっていましたからね。その時は睡眠2、3時間で連日書いていました。

 塾を創設した人が目を真っ赤にして眠れなかったというぐらいに、ど真剣に国を憂いているという姿を見ている時に、自分たちもやはりそれに一歩でも近づこうと、応えられる人材になろうと、必死でもがいていたのですよね。


●4年たったら一つの店を預かれるようになれ


 商店なり会社に手伝いに行く、見習いに行く、研修に行くということは、一番大事なのは、そこの人になりきってしまわないといけない。たとえ3日なら3日手伝いに行くのでも、一生そこに置いてもらうということになりきらないと3日の意味がない。3日が3日もう飛んでしまう。そういうふうに徹したら、そこの店主の、その商店のいいところが皆分かるから。

 そして、卒業するまでに4年あるから、4年たったら、一つの店を預かってやっていけるというようにならなければいけない。そのぐらいにはなれるはず。


●世の中の実態が身に染みて、初めて生きた政治ができる


やがて諸君に、小売屋さんの実習に行ってもらう。小売屋さんはどんなつらい思いで仕事をしているか。どんなに金をもうけるのに困っているか。税金というものに対して、どれだけ苦痛を感じているかが分かる。そうすると、税金というものは、こういう取り方はいけない、税金はもっと軽くていいはずだ、国費を減ぜないといけないと分かる。そういうことも政治活動の仕事の一つ。そういうことも身に染みて分かる。身に染みて分からないことには、必要とはしない。

それで諸君に、小売屋さんの実態というものを、身をもって味わってもらう。これは政治家でなくして、実業家になるにも、産業界に出るにしても、それは関係ある。小売屋さんの、1円、2円という利益を上げるのには、いかに苦心し、いかに苦労しているかということを、身をもって体験してもらいたいということで、2カ月なら2カ月ほど預けようと思う。そこへ行ったら、主人がご飯も食べない、晩飯も食べないで、お得意の相手になったり、集金したりしてやっている。そういうことも皆、味わってもらわなければいけない。

 そういう人たちの集合体で、国家は成り立っている。早く言えば。そういうふうにやる方々がいなかったら、世の中というものは便利にいかない。小売屋さんの仕事というものは、非常に大事な仕事。それが非常に大きな部分。大企業というものは、数において少ない。大部分は小売屋さん。その小売屋さんの、生々しい血を見るような姿を体験して、初めて、ああなるほど、世の中というものはこういうものだということを、実態を味わって、...
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