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「異次元の緩和」どころではない、次元の違う大構想

松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(3)無税国家と新国土創成~二大国家経営テーマ(前編)

松下幸之助
パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者
概要・テキスト
画像提供:公益財団法人松下政経塾
松下政経塾入塾後、塾生の誰もが驚いたのは、「塾にはカリキュラムがない」という事実だ。しかし、第1期生で第95代内閣総理大臣・野田佳彦氏は、松下幸之助の国家経営に関する壮大な構想を聞いて、そのことに得心したという。幸之助の考える二大国家テーマ――無税国家と新国土創成とは一体どのようなものだったのか。その構想の中核に迫る。(前編)(第3章3話目)
時間:17:24
収録日:2015/06/17
追加日:2016/01/14
カテゴリー:
≪全文≫

●理想の政治~無税国家と新国土創成


 しからば、どういう政治がいいか。世界中調べてみてどこの国の政治が一番いいか。一番いい政治があれば、それを取ってきてわれわれは勉強したらいい。けれど、それがなければ、その理想の政治形態というものをつくろうではないか。日本の伝統に基づいて、日本の特色に基づいて、こういう政治のあり方が一番いいと。日本では。そういうものをつくろうではないか。それをよく加味して、それで21世紀の政治のあり方はこういう状態だということを、発表していこう、全国民に訴えていこうということにしたらいい。こういうふうに思う。

 税金のいらない国家、無税国家を考えようではないかという話をした。早い話が、国鉄で毎年1兆円も損している。国鉄で毎年40兆円もうけたら、税金はいらない。極めて簡単。

 明治26年に、国家予算が、はっきりした数字は覚えていないけれども、その当時のお金で50万円、予算が余った。こんなに余ったからどうしたものか、ということになった。それで、その使い道を考えた。その時に、まあいろんな意見があったんだけれども、慶應義塾の創立者である福沢諭吉さんが、いろいろそんな難しいことを議論するよりも、その余った金をためておけと。たまった金で国を買えと、そんな提案をした。なぜ、そんなことを提案したかというと、その時分は、国を売買している。それでアメリカがちょうどアラスカを買ったでしょう。あれは金で買った。戦争で取ったのではない。

 だから、あの当時は、国を売ったり買ったりしていた。日本もその金、余った金を債務分担しないで、県税にも振り回さないでためておけと。それでたまった金で国を買ったらいい。非常に単純な考え方。その当時の世界の情勢は、国を売ったり買ったりしている。そういうことが出ている。

 だから、無税国家ということは、もしその通りにしていたらできる。その当時、50万円なら50万円余った。明治初年から予算を組んで、単年度制度にせずに、それで余剰金にしてやっていたら、たとえ1兆円なら1兆円を貯金していたら、今時分500兆円ぐらいの貯金ができている。そしたらもう税金を取らなくてもいける。500兆円あったならば、1割でまわせば50兆になる。そうすると40兆余りの予算だから、無税国家になる。今すぐにはならないけれども、今から百年なら百年の間に、そういう...
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