●飛脚と郵便経費
昔、徳川時代に長崎の奉行に命令するとき、速い手段は早馬だったのです。飛脚です。今だったら1分間で電話があります。したがって、経費は、政治費用は、何百万分の1です。ところが、今はむちゃくちゃになっている。徳川時代よりも税金が高い。そんなにいらない、日本の国は。1億の国民があって、こんな小さな国に集って、言語は同一で、こんな国はどこにもない。日本だけです。だから、アメリカで平均一人1ドルいるのだったら、日本は1セントでやればよい。生産性のもっと良い政治ができるわけです。それは考えないといけない。
アメリカがこうやっているから日本もこうしたい。日本の場合、これでいいということで、横着ができる。そうでしょう。自ら発意していないわけです。自分から発意するような政治をやらないといけない。今は見よう見まねでやっているわけです。だからうまくいきっこない。それで、この方法は日本では駄目だ、これは日本では良いとか、いろいろあるわけです。それで日本の政治ができるわけなのです。
アメリカの政治と日本の政治が違って当たり前なのです。違わないといけない。ところが今は同じになっているでしょ、どこでも。まだまだ政治は、いま進歩の第一歩です。これから何世紀かたったら、本当の政治が各国に生まれるのです。本当の政治。それで、いくらでも安くできる。小さい政治で大きな成果が上がる。
●アメリカ産業株式会社
だいたい民主主義というのがあるでしょ。僕は学問はないけれど、民主主義というものは、一番発達しているのはアメリカです。アメリカで民主主義が成功しているわけです。
この民主主義というものは、経済を追求してできたものです。民主主義というものは、僕の我流だけれども、経済の追求の結果、生まれたのが民主主義である。というのは、初めアメリカは、イギリスとかよその国から皆来たわけでしょう。それで何十人集まった。それが、八百屋もいれば魚屋もいる。下駄屋も靴屋もいる。それがめいめいやっておった、勝手に。それだから不便である。だから「一人世話役になって、それで世話役の食代はわれわれが出し合おう」「それならそれの方がいいな」「それならそうしよう」「お互いにこんなことせずに、人に任せようではないか、ある仕事は」。まあ、世話役ですな。それで皆、仕事を一生懸命やる。そうしたらもうかります。非常に簡単です。一人だけ世話役になって、あとの人は仕事を一生懸命やる。そういう人間がつまり大統領ですな。世話役が。
だから、民主主義というのは、経済を追求して生まれた。それを民主主義は平等主義とか何とか言っていますけれども、そんなものではないわけです。これは僕の我流ですが。本当は同じことを皆やっているから、共通のものは一人の人間に頼もう。その人間の食代は皆で出そうというわけです。それなら魚屋のハチくんがうまいからハチくんに頼もうではないかと。「ハチくん、一つ世話役をやってくれないか」「いや、わしはそんなもの難しくてできない」「そんなこと言わずにやってくれ。その代わり、お前の食代はわしらが出すから」「そうか、それなら一度やってみようか」とやってみた。だから、経済から追求できたわけです、民主主義は。ただ、そんなことは言わないわけです。自由平和とか、平等とか、わあわあ言っているわけです。だからアメリカが一番金持ちになったのです。当たり前です。日本でも経済を追求してやっているのだったら、もっと政治がうまいはずです。
●繁栄の受け皿と中間層の厚み/野田佳彦
一つのグローバルなレベルで考えたときに、日本の立地条件としては、今はプラスだと思うのですね。1期生の募集の時の政経塾のパンフレットでいまだに覚えているのは、文明は最初メソポタミアやナイルに始まって、そして、それがローマ、あるいは、ギリシャ、地中海に渡って、そして、ヨーロッパ全域に広がり、大英帝国の時代になり、アメリカの時代を迎え、そして、いずれ繁栄の中心はアジアだという、西回りの文明論が載っていました。
それで、その受け皿をつくろうという話が出ていたのです。それは今も当てはまる話だと私は思います。昔、チャーチルとルーズベルトが大西洋憲章をつくりましたけれど、今は間違いなく太平洋憲章が大事で、アジア太平洋の時代だと思います。
この大西洋憲章はイギリスとアメリカが主導しましたけれど、太平洋憲章は日本とアメリカがルールメイキングをする。そこに中国が入ってくるような、戦略を持った国にすることです。それは、TPPも私は一つだと思います。チャンスをつくる国、あるいは、ピンチを防ぐために、南シナ海や東シナ海の海洋をめぐるルールをつくることを含めて、アジア太平洋を軸として、やはり日本はいい立地条件だと思いますので、...