10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
10MTVオピニオンは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
このエントリーをはてなブックマークに追加

ICTをうまく使いこなす現代のハッカー集団やテロ組織

世界標準の危機(1)セキュリティはレジリエントであれ

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
内閣府本府参与である齋藤ウィリアム浩幸氏が、日本のサイバー・セキュリティ事情とそこに潜む「危機」の本質を語る。齋藤氏によれば、サイバー・セキュリティは「やり過ごす」ようなものではなく、常に加えられる攻撃にいかに対処するかを要とする。だが現在の日本のあり方では、そうした「レジリエント」な組織は難しい。なぜだろうか。(全8話中第1話)
時間:11:38
収録日:2015/11/19
追加日:2016/01/07
タグ:
≪全文≫

●ICTを使いこなす、現代のハッカー集団やテロ組織


── やはりアノニマスはすごい集団ですね。

齋藤 今まで敵というのは、集団のように特定できてものすごく分かりやすい存在でしたが、今は集団というか、ネットを使ってバラバラになっているという意味では、対処が難しくなっていますね。

── しかも、何かある種のサークルと言えるのか、少なくとも企業ではないし、かといって違う形の国家でもないし、といった集団組織ですよね。しかも能力的には、ものすごく高いものを持っているという感じです。こういうグループは、日本には存在しないですよね。

齋藤 日本人がアノニマスに参加していたとしても、私はあまりびっくりしないですね。だから日本に存在しないというよりは、バーチャルな世界ですから、本当にどの国からでも、誰でもどこでもいつでも参加できます。やはりこれが、今までにはない敵ですね。

── 現代は国家論が非常に成り立ちにくいですね。一方でグローバル化が進んで、ボーダレスになり始めています。しかしボーダレスになったのだけれど、イスラムの中でも、穏健なイスラムと過激なイスラムの対立だけではなく、例えば今回のパリの虐殺事件を見ていると、イスラムの中でも相当、モラルの危機に瀕しているのかなというような感じがします。イスラムの穏健派から見ると、今回の事件はとんでもないということになるでしょうし。

齋藤 評価が難しいのですが、イスラムが宗教として悪いとか悪くないとかという点では、私は他の宗教とそれほど変わりはないと思います。ただイスラムの方で、格差が増えている中、不満がたまってきたというのは事実です。そしてこれがものすごく加速化してきました。そこに、まさにICTを使いこなして、それを宣伝広告や募集材料などに用いています。もちろんどの政府でも、ICTをうまく使っているというのは事実ですが、それと同様にイスラム国も、テロのようなそういう集団を募集したり、いろいろリクルートしたりする。世界中でいろいろな不満を持っている人たちを集めて、攻撃をするときも全部含めて、ICTをうまく活用している。こういうところで、イスラム国がすごくハイライトはされているかもしれません。

 ただ私としては、ちょっとしたカリスマが教義を極端に解釈して変なことをするというのは、イスラムだけでもなく、どの宗教でも同じだと思います。今は場所的に、あの地域に関心が集中してしまうところが残念ですね。


●サイバー・セキュリティは、「破られる」前提で取り組むものだ


── 今回、齋藤さんが新しい本(『IoTは日本企業への警告である』、ダイヤモンド社)を出されて、日本企業においてはまさに「ここだ」いう感じの内容です。これはタイムリーな本ですね。齋藤さんがこの時期に書かれたという意味でも。

齋藤 そのつもりではなかったのですけれど。ここ(10MTV)で何回かお世話になったのも、「イノベーション」とか「アントレプレナー」という言葉の面でお話が来たと思うのですが、もともとはサイバー・セキュリティの専門家としてずっとやってきたのです。数年前までは、皆さんの認識が本当に低すぎたので、こういうことをやっていても結局オオカミ少年になるという現象がよくありました。しかしこの1~2年の流れを見ていると、やはりサイバーの部分で、今まで準備をしてこなかった結果、本当にいろいろな不具合や問題が、日本だけではなく世界中で増えているという気はします。

── ここにも書いていますが、もうビジネスパーソンは、自分の方が進化しないと、ついていけなくなりますよね。そういうことが起きている状況ですね。

齋藤 今の時代がもう完全にインターネット社会になっていて、それを元に戻すというのはやはりあり得ません。これからの競争力や生産性を考えていくと、ますますそのICTを使っていかないといけない世の中になっていくと思います。

 ただ私もずっと以前から言っているように、それをやるからにはセキュリティは大前提なのです。必須項目です。「後でやろうかな」とかではなく、結局やらないといけない。そういうことはもう、最初からやった方がいい。これが、私が前から思っていることですね。

── まさに一番最初にお会いした頃に齋藤さんが指摘されていたサイバー・セキュリティの話はすごく衝撃的でした。サイバー・セキュリティは、もうほとんど破られていて、破られていることを知らない、自覚がないのか、あるいは自覚があるのかというだけの話で、もう既に皆が破られている、というものでした。

齋藤 本当に危険なのは、破られたとき、特に日本の企業ですと、破られた人たち、その担当者が悪者になることです。これをまずやめてほしいですね。破られるということはもうかなり普通のことになってい...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。