10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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現代日本は「言い訳上手の失敗嫌い」だ

世界標準の危機(3)「バブル」経験の亡霊

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
「日本は本当は優れている。今はたまたま苦しいだけだ」──亡霊のように日本につきまとうこの感覚が、日本の将来を脆弱なものにしていると、内閣府本府参与・齋藤ウィリアム浩幸氏は警告する。ここから帰結するのは、失敗やリスクを恐れ、言い訳ばかりが上手になって、誰も責任を取れない体制だ。(全8話中第3話)
時間:07:02
収録日:2015/11/19
追加日:2016/01/14
ジャンル:
≪全文≫

●抜本的改革には、崩壊が必要?


── 齋藤さん、先ほどサイバー・セキュリティの問題で、怖いからICT導入につながらない、つなげないと言う人たちが、組織の上にたくさんいるわけですね。こういうところが変わっていくためには、どういうやり方をすればいいでしょうか。

齋藤 言い方としては少しきついかもしれませんが、日本人がそこでドキっとして危機感を高めるという意味では、やはり一度潰れないといけないと思います。ゾンビ化したままという状態がモラル・ハザードにつながっていき、「まあ誰かがなんとか助けてくれるだろう」ということでは、変える気持ちにはなりませんよね。

── 日本が戦後に強くなれたのは、レッドパージがあったり、敗戦で富の蓄積がパーになってしまったりといったことがあり、やらざるを得なかったことがありますね。その結果、上の方もいなくなってしまった。やはりそういうのが必要だということですか。

齋藤 明治維新や戦後直後が、日本の経済が伸びた代表的な時代です。ここで起こったのが、企業の平均年齢ががくっと下がったことです。同じように、これからはこれだけICTの世界になっていくのに、経営者がメールも使えないということになると、話は難しいと思います。


●失敗を恐れなかった80年代の日本企業


── やはり強制的に取り換えられてしまったわけですよね。取り換えられて、全く端の方にいた人たちがメイン・プレイヤーになった。それが黄金の80年代となって、齋藤さんを育て上げた。あの当時、西海岸に行った日本の企業は、もう軒並、パナソニックもシャープもソニーも皆、痛い目に遭ってしまっているわけですよね。でも、80年代は違ったわけですね。

齋藤 当時は皆さんすごく自信満々で、結構リスクを取って、失敗を恐れることなく、すごいパッションを持ってやっていましたね。本当にあの当時のサラリーマンと今のサラリーマンでは、自分で見ていてもやはり違いますね。

── 多分、齋藤さんからご覧になって、80年代は一番輝かしい人たちがいた。海外であるアメリカの最前線で戦っていた人たちを見ていた。しかしどうしてこんなことになってしまったのだろうと思って、2000年代に日本に帰ってきた。その後、その解答を見つける旅というのでしょうか、それをやっていく時に、齋藤さんは二つの視点を持っていますね。輝いていた80年代の最先端のアメリカ、という伸び盛りの現場と、その後ずっと2005年ぐらいから落ちていく一方の日本と、こういう体験をして日本を見ている人は珍しいのではないでしょうか。

齋藤 私は本当に、たまたまラッキーだったかなと思います。私も10代で起業家となって、日本のバブルの最後の方は経験しているのですね。この20数年間のいろいろな変化を見てきて、そういった視点と、海外からの目線という意味では、数少ない何人かのうちの一人でしょうか。

── それに、ICTのジャンルから現状を見ていますよね。日本はものづくりやアナログで勝っていたのが、突然デジタルに行く過程で全部駄目になり、乗っ取られていく。でもこの構図は、依然として変わらないですよね。

齋藤 変わらないですね。今の会社を見ていても、経営トップになっている人たちというのは、数十年前であれば課長や部長として実際にものをつくっていたから、結局そこが安心するし、分かるのです。だから彼らが悪いわけではないのです。そこから思考を変えていって、いきなりデジタル化しようといっても、これは難しい...
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