10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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「爆買い」バブルも、いつかは弾ける

世界標準の危機(4)「平和ボケ」から目覚めよ

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
80年代には、日本人にも、リスクを取り、新しいことに果敢に挑戦する人たちがいた。それを間近で見てきた内閣府本府参与・齋藤ウィリアム浩幸氏は、「だから今でも、やればできるはずだ」と発破をかける。必要なのは、瞬間的なバブルに浮かれることではなく、長期的な視点に立って意識を変えることなのだ。(全8話中第4話)
時間:08:11
収録日:2015/11/19
追加日:2016/01/18
80年代には、日本人にも、リスクを取り、新しいことに果敢に挑戦する人たちがいた。それを間近で見てきた内閣府本府参与・齋藤ウィリアム浩幸氏は、「だから今でも、やればできるはずだ」と発破をかける。必要なのは、瞬間的なバブルに浮かれることではなく、長期的な視点に立って意識を変えることなのだ。(全8話中第4話)
時間:08:11
収録日:2015/11/19
追加日:2016/01/18
≪全文≫

●インバウンド消費も所詮はバブルだ


── 齋藤さんが指摘した通り、明らかにこの20年は失敗だったのですね。だけど、それを未だに認めたがらない。かつ錯覚しているようなメディア環境になっているから、やはり失敗が理解されていないという感じがしますね。まだ技術大国だと思っているし、まだアジアの中で豊かな国だと思っているし。

 中国人がいっぱいやって来て、ものをいっぱい買ってくれたり、観光客としてワッと来たりしてくれているので、京都の店は戸惑っていますよね。なぜ祇園に、中国人が半分以上も歩いているのだと。だけど、それは当たり前ではないか。シンガポールに行って、1人当たりGDPで数値を取ったら、日本の2倍ぐらいです。あるいは香港の方がはるかに豊かです。

齋藤 今、指摘されたことで、これ(インバウンド消費の拡大)も一種のバブルで、「勘違いしている」と皆さんには最近言っています。日本から海外に行く人も少なくなったし、外の空気を吸って、競争力も激しくて怖い中、皆さんハングリーになって、すごく戦って頑張っているというところは、伝わってこないですよね。

── それはすごくもったいないですよね。その部分がないのは最悪ですよね。

齋藤 私が心配なのは、いずれこのバブルも弾けますから、そうなった時点で、皆さんこれだけ弱いままだったらどうなるか。いや、もう想像もしたくないですね。


●80年代の姿を取り戻せ


── ICT導入の最後の機会が、日本でいうと、やはりiモードだったような気がするのですね。国内だけのものでしたが。

齋藤 iモードもいい例だし、トロンもいい例です。そういうチャンスをなくしたことに、皆さんがもっと反省するべきだったと思うのですね。せっかくチャンスがあったのに活かせなかった。そういう試みがなぜ駄目になったのかを、もっと見直すべきだったのですね。

── そういう意味で、齋藤さんはずっと歯がゆいでしょう。80年代の輝いていた人たちを見ていたから。本当の問題は金融緩和ではないのですよね。こんなものは、問題の先送りだし、いくらやっても、後の問題複雑にするわけです。それよりも。齋藤さんが言うイノベーションや、教育で経験する力など、そちらが大切ですよね。ICTが「読み書きそろばん」なのだとか、そちらに意識が向かわないと何にもならないわけですよね。

齋藤 私もこういうきついことを普通に言っているので、「では斉藤さんはなぜ日本にいるのですか?」とよく言われます。「やりたいことはシンガポールや上海、アメリカでもできるではないか」と。私は日本人として、ああいう(80年代の)日本を見てきたから、できるのが分かるのです。だから、そのオール(全てが)きつい指摘ではないのです。


●世界的にも珍しい、日本社会のクオリティ


齋藤 そうやって考えると、日本は裏から言えば素晴らしい国なのです。何もできなくてもまあまあいい生活ができる。これだけ安全・安心という面では、それこそパリではないですが、世界の皆さんに羨ましがられる立場だと思います。その意味で日本政府とか日本はすごい存在だと思います。この国をここまでこういう風に豊かになり、皆さんがそれなりにハッピーに安全に暮らせるというのは、珍しいですよ。今、世界で唯一かもしれない。

── 世界の中でね。

齋藤 ただ、そこで少し心配なのは、その平和ボケの中でハングリーさが生まれないことが、中期・長期的に見るとやはりまずいなという気はす...
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