10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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官僚に巣食う「事なかれ主義」の実態とは

世界標準の危機(7)日本官僚の大いなる抵抗

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
内閣府本府参与の齋藤ウィリアム浩幸氏は、2年間にわたる政府系の長期プロジェクトを進める中で、日本の官僚たちの事なかれ主義に直面した。少しでも変わったことをしようとすれば、大いなる抵抗に遭う。そんな状況下でプロジェクトを成功させた齋藤氏は、プロブレムこそ変化のオポチュニティ(機会)であると強調している。(全8話中第7話)
時間:08:51
収録日:2015/11/19
追加日:2016/01/28
内閣府本府参与の齋藤ウィリアム浩幸氏は、2年間にわたる政府系の長期プロジェクトを進める中で、日本の官僚たちの事なかれ主義に直面した。少しでも変わったことをしようとすれば、大いなる抵抗に遭う。そんな状況下でプロジェクトを成功させた齋藤氏は、プロブレムこそ変化のオポチュニティ(機会)であると強調している。(全8話中第7話)
時間:08:51
収録日:2015/11/19
追加日:2016/01/28
≪全文≫

●日本を駄目にする「年次」と「派閥」


―― ICTが入ってきたところ(の問題)は、やはり役所の年次システムですよね。ICTが2000年代にたくさん入り始めてきて、そこに接した時に50代になっていたおじさんでは、対応は無理ですよね。

齋藤 私は、たまたま世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーに選ばれたのですが、これは30代の人たちが候補者なのですね。30代で選ばれて、そのヤング・グローバル・リーダー(YGL)になります。そうなると、世界中の同じようなヤング・グローバル・リーダー、30代の人たちと出会うことができます。そこで数百人、1000人近く友達になるのです。絆ができていろいろ話をしたり、子どもが生まれたりとか、そういう話をするのです。

 ただ私が自分で、最近少し厳しくなってきたなと思うのが、その後のキャリアです。彼らも何年もやっていると、今では40代になってきていて、カナダの首相になったり、どこかの大臣になったり、次官になったりします。そういったことは、私は個人的にすごくフラストレーションになりますね。日本ではこんなのあり得ないよな、ということです。他の国を見ていて、彼らYGLの方がどんどん成長して、そしてそういうところの政府の気持ちを持っているのです。それを実際やっているし、やらせてもらっている、変えているので、かっこいいですよね。

 日本の場合は、そういうイノベーションやICTなど、これから世の中を変えていくところで、一部では海外とつながっていたりとか、新しい技術を知っていたりとか、イノベーションが分かっていたりする人が、年次システムでは相手にもされないですよね。そういうところで日本はすごく損をしていますね。

── ものすごく損をしていますよね。組織のつくり方が精緻華麗にできすぎているのですね。もう少し雑につくってあれば、新しいことができたところにポコンと人を持ってきて、「今日からこの人がリーダーだ」と言って回せるような形になっていない。やはり同じ年に入って、同じ時期に新卒採用されて、同じようなトレーニングを受けてということをやった中からしか選ばないということをやっていると、ICTでスピードが早くなっている時代に、ついていけないですよね。表から持ってこられないですものね。

齋藤 最近も経験したのですが、やることが正反対ですよね。そういう集団で何かしようといって、結局皆、派閥ができるのです。慶応卒とか、東大卒とかの先輩後輩の関係とかいって。もちろん日本人同士ですよ。それなのに「私は慶応だから、慶応の後輩しか信用しない」みたいな、そういう雰囲気が出てくるのですね。これからのイノベーションや、これからのグローバルの世界というのは、ダイバーシティ(多様性)を減らすのではなく、むしろ多様性を広げるということです。同じ考えの人が集まって倒れるよりは、あえていろいろな人と議論をして、ベストを選んでいくということが大事なのに、自分がcomfortable(快適)な、慣れているところにすぐ行くというところは、弱いですね。


●プロブレムはオポチュニティだ


齋藤 つい2週間前に国際会議(Cyber3 Conference)を開催して、無事に終わったのですが、これは計画するのに2年かかったのです。私は日本政府の側で立って、いろいろやったのです。国際会議ですよ。私は、国際会議にあるイメージがあって、もちろん国際ですから海外から人を呼んできて、きちんと議論するというようなことです。<...
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