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マイナス金利政策は米日政策金利差に影響する

日銀がマイナス金利政策を導入(3)今後の為替見通し

高島修
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
情報・テキスト
「長期的には、マイナス金利政策は一般的に考えられているよりも円安効果をもたらす可能性がある」と語るのは、シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏だ。では一方で、短期的にはどの程度の効果があるのか。高島氏がマイナス金利政策における為替相場への影響と効果を推計する。(全3話中最終話)
時間:08:40
収録日:2016/02/04
追加日:2016/02/18
「長期的には、マイナス金利政策は一般的に考えられているよりも円安効果をもたらす可能性がある」と語るのは、シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏だ。では一方で、短期的にはどの程度の効果があるのか。高島氏がマイナス金利政策における為替相場への影響と効果を推計する。(全3話中最終話)
時間:08:40
収録日:2016/02/04
追加日:2016/02/18
≪全文≫

●マイナス金利政策は米日政策金利差に影響する


 では、日銀のマイナス金利政策が、為替相場にどのような影響を及ぼすのかという3点目の議論に移っていきたいと思います。

 いま見ていただいているページは、私自身が随時アップデートしているドル・円のファンダメンタルズモデルの概要です。若干専門的な議論になりますが、このファンダメンタルズモデル、フェアバリューモデルの信頼度を示す決定係数「r2(アールスクエア)」は、0.77を超えています。0.77を超えているということは、このモデルの信頼度がかなり高いことを意味します。

 では、このファンダメンタルズモデルが、どのような変数からドル・円の動きを推計しているかといいますと、五つの変数があります。一つ目は「米日政策金利差」で、FRB(連邦準備制度理事会)が誘導目標としているフェッドファンドレートと、日銀の政策金利の金利差です。二つ目は「米日実質長期金利差」で、日本とアメリカの10年国債利回りの格差から、両国のインフレ格差を差し引いたものです。

 三つ目が、「日米マネタリーベース倍率」で、従来日銀が行ってきた量的質的緩和を反映する部分です。日銀とアメリカの中央銀行に当たるFRBのバランスシート倍率を示します。四つ目の変数は「日本基礎収支」と書いていますが、貿易収支をはじめとした経常収支に、企業による直接投資の収支を差し引いたものです。五つ目の要因は、「日本交易条件」で、輸出物価を輸入物価で割ったものです。

 今回日銀が導入したマイナス金利政策は、この五つの変数のどれに影響してくるかといいますと、直接的には一つ目の米日政策金利差です。


●今回の政策は量的質的緩和より効果は小さいだろう


 この政策金利差がドル・円に及ぼす影響ですが、係数を見ていただくと、2.8と出ています。これは、日米の政策金利差が1パーセント変化すると、ドル・円に2.8円の影響が出てくるという推計結果を示しています。今回、仮に日銀の利下げ幅を0.1パーセントからマイナス0.1パーセントへ、0.2パーセント金利を引き下げたと見れば、2.8×0.2で、60銭弱の円安になる計算となります。

 加えて、日銀の金融政策は、日本の長期金利にも影響を与えます。いま見ていただいているグラフは、日本の10年国債利回り、20年国債利回りの動きを示していますが、今回、いかに日本の長期金利が低下したかがお分かりいただけます。日本の10年金利国債利回りは、0.2パーセント台から0.0パーセント台まで下がっています。大まかに言えば、0.2パーセントほど下がっているということです。

 これをもう一度、ファンダメンタルズモデルに基づいて見ていくと、2番目の変数である米日実質長期金利差の係数が1.92と出ています。これは、1パーセントの金利変化に対して、ドル・円が1.92円ほど影響を受けるという意味です。仮に円金利が0.2パーセント下がったと考えて、1.92に0.2を掛けると、だいたい40銭ほど動きます。先ほどの政策金利差の変化と、この実質長期金利差の変化の両方を合わせると、ドル高・円安がだいたい1円ほど進む計算になります。

 それに対して、従来から日銀が行っている量的質的緩和は、年間80兆円ペースで資産を買い入れ、日銀のバランスシートを膨らませています。私のファンダメンタルズモデルに基づくと、このバランスシートの拡張は、1年間で4円ほど、円を米ドルに対して下落させる影響力があります。で...
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