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人材育成にかける投資額は日米で100倍違う!?

藤森義明のGE流経営論(3)リーダー教育の日米格差

藤森義明
株式会社LIXILグループ 前 取締役 代表執行役社長 兼 CEO
情報・テキスト
世界に名高い企業内リーダー育成機関を持つGE(ゼネラル・エレクトリック)。ジャック・ウェルチ時代の米GEでリーダーシップを学んだ株式会社LIXILグループ取締役代表執行役社長兼CEO・藤森義明氏が、人的・金銭的投資の重要性と、どうすればその効果が充分に発揮できるかを、日米を比較しつつ語る。(全4話中第3話目)
時間:12:39
収録日:2015/12/16
追加日:2016/03/28
≪全文≫

●GEで学んだ「人」の大切さ


── 藤森さんは、やはり昔から人間に関心があったのですか。

藤森 いいえ、GE(ゼネラル・エレクトリック社)に入って、人間に関心を持たなくてはいけないと思うようになりました。

── GEに入ってからですか。

藤森 そうです。GEに入ったのはやはり非常にいい経験でした。それまでは、正直言って、あまり人間というものに興味がありませんでした。高校、大学とスポーツをしていましたので、スポーツを通じて、ある程度人が大事だと思うようになってきました。ですが、例えば、その人がどういう力を持っているのかとか、どんな人に会っても三つの言葉で瞬時に表現できる判断力とは何かなど、そうした人への興味を本当に持つようになったのは、GEに入ってからです。

 GEという会社は、人をとても大事にします。人に関心を持たないとGEでは成功しないようなところが本当にあります。それほど人を大事にするのがGEという会社ではないかと思います。だから私は、そこで自分自身も変わっていきました。そして、常に人を意識するようになりました。

── 大きな影響力ですね。

藤森 はい。GEマネジメントスクールはすごいですよ。

── 藤森さんのときにはヨーロッパで実施されていたのですよね。

藤森 私は、GEがそのマネジメントスクールをグローバルに展開しようとした一期生なのです。コースは3段階あり、私は2段階目をヨーロッパで受けました。これも最初で一期生でした。そして、GEの役員になる手前、3段階目の一番高いレベルのコースは中国。これも外国に出て行って受けた一期生になります。そういう意味で、私はGEのグローバル化のいわば「最初の波」の中にいたことになるわけです。

── 研修スタイルから全部変えた大きな変わり目に当たる、そういう巡り合わせなのですね。

藤森 その通りです。

── それは貴重な出会いでしたね。

藤森 確かに私にとっては非常に貴重な出会いでした。GEに20何年も残るというのは非常に難しいことで、仲間はどんどんいなくなっていきます。マネジメントスクールでも、2段階目、3段階目とコースを進むにつれて、どんどん人がいなくなっていきました。GEでは、その競争の中でやっていかなくてはいけないのですが、しかし、そこでやってきた人たちは、外の会社に行っても、やはりすごい人になっていますね。つまり、駄目だったからGEを辞めていったというより、むしろもっと高いところを求めてGEを辞めて挑戦していった人が、半分以上いるということだと思います。そういう意味で、GEの中で教育を受けたステップは非常に貴重な経験でした。


●CEO自らが参加するGEの教育研修


── (アメリカと日本では)トレーニングシステムに相当のレベル差がありますね。

藤森 どうなのでしょうか。レベル差を感覚的には比較できませんが、例えば教育に対する投資をどれだけするかという視点で考えると、仮にGEが1000億円投資しているとすると、日本の会社は10億円。これで100倍の差ですが、そのぐらいのレベルの差はあるのではないでしょうか。

 GEには、教育プログラムを行うクロトンビルという研究所があるのですが、ジャック・ウェルチ(前会長兼CEO)にしても、今のCEOのジェフ・イメルトにしても、ヘリコプターで飛んできて、必ずそこで教育プログラムに自らが参加します。彼らは、お金をかけるだけでなく、自分たちの時間も投資します。自ら参加して、自らの経営論やリーダーシップ論を語ってくれるわけです。それによって、われわれは直接学ぶことができます。また、そのリーダーシップコースも、いろいろなレベルで1年に約20回行われます。彼らはそれらの全部に参加しています。お金をかけることも大事ですが、やはり自分たちの時間をかけることも大事なのです。

 私は今いろいろなところでリーダーシッププログラムをしていますが、そこではやはり、自らが出ていくこと、自分がリーダーシッププログラムに投資をすることがCEOとしてすごく大きなことだと思います。自分の時間と会社の資源を使うということです。

── グローバル企業で本物になっているところと日本の企業との落差は、相当なものがありますね。

藤森 教育にかける人的・金銭的資源には、ものすごい差があると思います。われわれ日本人の会社、または日本の会社は、もっと教育にお金をかけなければいけません。人を育てることにもっともっと力を入れないと、人の競争力として、世界で勝てる人材は、なかなか育てられないと思います。しかし、それはできると思います。マネジメントがその気になれば、そして時間とお金をかければ、できると思うのです。それを、例えば、日本にいるほとんどの会社がやれば、すごい人材...
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