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デンマークは30年かけて日本型の発電から分散型発電へ

加速する自然エネルギーの拡大(2)地産地所有と地域創生

飯田哲也
認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所 所長
情報・テキスト
エネルギー分野でのグローバルな構造変化を先導しているのは、デンマークをはじめとする北欧諸国だという。デンマークが行ってきた取り組みを「地産地所有」と呼んで、自然エネルギーの普及とともに重要なことだと語る特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長・飯田哲也氏。エネルギーシフトに伴う世界の動きと地域創生の可能性について解説する。(全2話中第2話目)
時間:16:01
収録日:2015/12/25
追加日:2016/03/28
≪全文≫

●デンマークは小規模分散型でエネルギー自立化へ


 引き続いて、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也です。後半は、グローバルな変化を起こしつつある構造変化についてお話をしたいと思います。

 最も象徴的なのは、このスライドにあるデンマークにおける過去30年の変化です。デンマークは30年前、大きく分けると二つの系統の独占電力会社と、数えるばかりの大型の石炭火力発電がありました。原発は日本と違い、もともと国策で導入をしなかったわけですが、大規模集中型の独占電力会社は、ある意味で今の日本に似ているかと思います。

 それが今日、およそ6500基の風力発電と、およそ1000基のコージェネレーションになっています。コージェネレーションは、電気と熱の両方をエネルギーとして活用しますので、発電だけですと40パーセントのエネルギー効率しかないものが100パーセント近くになるのです。実際に、デンマークでは100パーセントを超える熱効率のコージェネレーションもあります。さらに、およそ5000基のバイオマスを中心とするボイラーもあります。こういう小規模分散型のエネルギー源によって、デンマークは今、エネルギー自立化へと向かっているのです。つまり、一目瞭然ですが、エネルギー構造が大規模集中型から小規模地域分散型へ完全に変わったわけです。


●構造変化の背景-高度成長から石油ショック


 もう一つ重要な要素は、30年前には非常に数少ない独占電力会社が大規模な発電所を独占し一方的に電気を送っていましたが、現在は6500基の風力発電と1000基のコージェネレーション、さらに数千基のバイオマスボイラー、これらの8割を地域の人たちが持っているということです。それは、個人であったり、農家であったり、協同組合であったり、消費者組合であったり、あるいは地方自治体がつくったエネルギー会社であったりします。こういたエネルギー所有の構造が、この30年で完璧に変わりました。

 デンマークだけに限りませんけれども、こういう構造(変化)の背景として、次のスライドにありますように、われわれ人類、とりわけ先進国を中心とした国々がエネルギーに関して五つの歴史的な課題に遭遇をしてきたことが挙げられると思います。

一番最初は、高度成長期への対応です。これは、石油を中心とするエネルギーをしっかりと供給することで、日本ももちろんしっかりと行ってきました。次に、1973年と79年の石油ショックです。ここも日本は一応うまくやったと言われていますが、ただ、ここで二つ大きく道が分かれます。自然エネルギーと省エネルギーを軸とするエネルギー政策をとった国と、原発に走った国です。日本は、残念ながら後者の原発に走った国となりました。


●変化の背景-市場化・気候変動・分散とIT化


 1980年代から規制緩和の時代が始まり、IPP(Independent Pоwer Prоducer、独立系発電事業者)が出てきました。そして、1990年のイギリスのサッチャー改革など、いわゆる電力市場自由化、あるいは電力システム改革といいますが、このエネルギー市場の自由化への対応が80年代から始まり、とりわけヨーロッパは、そこをしっかりと正面から受け止めてやってきました。日本はようやく今、それに着手したところです。そういう意味でいうと、この市場化への対応について日本は、20年から30年遅れてしまったということになります。

 やはり同じく80年代からとりわけ90...
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