●ラオス政府は「経済特区」に力を入れている
今までの話は日曜日の夜のことです。月曜日と火曜日は、公式にラオスの計画投資省に行って計画投資担当副大臣に会ったり、ラオス国立経済研究所などいろいろ訪ねたりしました。これはオフィシャル・プログラムです。
そこで何をやったのかという話を、ここでしておきたいと思います。ラオス計画投資省は、先ほど冒頭(第1話)で申し上げた鈴木基義先生が、かなりの影響力を持っています。自分の部屋を持っているだけではなく、若手の役人は大体、この鈴木先生の薫陶を得ているのですね。みんな、鈴木氏のことを先生だと言っていました。この鈴木先生が、今一番熱心にやっていることは、ラオス政府が力を込めて進めている経済特区(SEZ)です。現在は12カ所になろうとしていますが、この内の一つ、パクセというところにある特区を鈴木先生が引き受けて、そこに日本企業を誘致するという活動を進めているわけです。現在までに7社を誘致したようです。
数年前から、ここは良いところだということで、電子部品やウィッグをつくる会社や、イタリーの革製品、ワイヤハーネスなどいろいろな会社がやってきたのですが、3年間待たされてしまったと言うのですね。そのため日本の企業も「本当かな」という雰囲気になって、難しかったそうです。
それはなぜかというと、誰かがラオス政府に、カジノをつくるのが良いという話を持ち掛けたので、政府はその気になり、いろいろなところへ話して一大カジノをつくろうとしたのですが、結局トラブルが生じてしまい、3年間止まっていたからです。ようやく最近になって全部がOKになり、この経済特区のいくつかが動き出しました。その中の一つが、このパクセなのです。
●経済特区で成功しそうなのは、「帯留め」と「ウィッグ」?
この事業を、鈴木先生のパートナーである日本語の上手なラオス人がやっているのです。ということで、その経済特区とはどんなものかというディテールをいろいろ聞きました。これがなかなか面白かったのです。第2話でお話したように、実はラオスの賃金はそれほど安くないと言う人もいますが、それでもやはり、タイなどに比べれば安いのです。ですから、日本や中国も含めて、世界中がこの地域に非常に注目している理由の一つは、賃金です。それからもう一つは、税金です。さらにもう一つは、特別優遇措置です。それから交通網や通信網、そして水です。これらを全て総合的に勘案します。
例えば、コンピュータをつくるとか、オートバイをつくるなど、◯◯をつくるには、どの中間工程をどの国へ立地すればいいのか、これには相当早い判断が必要だと思います。おそらく1~2年で判断して、数年やってみて、条件が変わったら動くというようなことだと思います。そういうことが、今ものすごく世界で盛んなのです。これがGMS(Greater Mekong Subregion)の産業発展のダイナミズムの元になると言っている人もたくさんいて、ラオスもその一部です。
ただ、このパクセの話で面白かったのは、ラオスに入っていって一番成功しそうな日本企業は、帯留めとウィッグだそうです。帯留めの小さい製品は、非常に手間暇がかかるのですね。それからウィッグの材料は人毛ですから、それをどこから持ってくるかというと、中国の奥地なのです。かなり剛毛が良いようです。これを1本1本植えるのが最高級のウィッグで、すごく高いものになるのです。それには、ラオスが最適なのだそうです。こういった、なるほどと思う事業をやっているわけです。
●旧フランス領としての名残を感じるビエンチャン
さらに別のところで、計画投資省の副大臣に会いに行きました。この人は、誠に見事な英語をしゃべるのです。その人によれば、ラオスは、中期・長期経済発展計画を持っている。ラオスは世界でも下から数えた方が早い低賃金国ですから、中期計画では2020年までにこれを脱却したい。2030年までには、世界の200ぐらいある国の中心国として位置付けたい。こういった非常に壮大な思いを持って、その発展のために全力で努力しているのです。
そのラオスにはいろいろな国が援助しています。オーストラリアは長いこと多くの援助をしていたのですが、今では日本が、援助額のトップではないかと思います。いろいろな援助を受けているから、そういうものを使いながら大きく発展しようとしています。多分、ラオスの伸びしろは、これからが一番大きいのではないかと思います。
ミャンマーがかつてそうだったのですが、相当に開かれてしまっていて、今ではお昼時など、やや混雑しているようです。ビエンチャンという町は小さいですが、家も非常に小綺麗で、さすがフランスの領地だったという印象を受けます。ソフィステ...