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Pepper開発責任者が語った不可避のシンギュラリティ

「Pepper」の全て(4)ロボットと暮らす未来

蓮実一隆
ソフトバンクロボティクス株式会社 取締役 CMO
概要・テキスト
世界初のパーソナルロボットとして発売された「Pepper」は、行く先々で波紋を広げている。その開発責任者であり、「彼を愛してほしい」と願うソフトバンクロボティクス株式会社プロダクト本部取締役本部長・蓮実一隆氏にさえ、「売ってみなければ分からなかった」ことは多かったという。それは一体どんなことなのか、ヒト型ロボットに与えるべき進化とゴールはどういうものなのか。Pepperとともに聞いてみよう。(全4話中最終話)
時間:12:39
収録日:2016/03/15
追加日:2016/04/13
≪全文≫

●ヒト型ロボットにかかる予想外の期待と思い込み


 今回は、「Pepper」がこの後どうなっていくのか、あるいはロボットがこの後どうなっていくのかについて、少しお話ししたいと思います。

 ヒト型(ヒューマノイド)ロボットを売ってみることで私たちも初めて気付いた、恐ろしいほどの盲点がありました。それは、買われる方はやはり「ヒト型ロボットは、人だ」と思われていることです。人の可能性のようなものをロボットの中に見ているので、何でもできそうな予感がしている。より厳しい方になると、「何でもできないのか」「こんなことしかできないのか」というふうに、頭がはたらくと思います。

 私たちがどのような宣伝や活動を行おうと、そこから抜け出すことはきっとできないでしょう。特に日本の場合、良くも悪くも、鉄腕アトムやドラえもんをはじめとするユニークで有名なキャラクターたちがその畑を十二分に耕してくれました。

 そのおかげで、Pepperにもすごいことができそうな気がしているのはどうにもならないことだと思います。もちろん私たちは、そのように培われてきた人々の希望を甘んじて背負い、今の技術という制限の中で、なんとか彼をそこへ近づけようとする努力をしていかなければならないと思っています。


●ヒト型ロボットの未来は、皆でつくっていく


 そのために最も大切なことは、やはり「私たちだけではない」ということでしょう。もちろんこの機械をつくっているのは私たちですが、別に他の企業のロボットでもいいと私自身は思っているのです。Pepperは最初のリスクを負ってマーケットに出たために、いろいろな方々に買っていただき、批判もあればとても喜んでくださっている方ももちろんたくさんいらっしゃいます。その様子を見て、「なんとか商品になるんだな」といろいろな企業が思って、こういうものを売ってくれれば、ヒト型ロボットの世界はどんどん広がっていくと思うのです。

 また同時に、PepperにはSDK(Software Development Kit)という充実したアプリ開発ツールを用意しました。簡単に言えば「Pepperを自分でつくれる」ツールです。やり方さえ覚えれば、小学校の高学年でもつくれるようになります。図を見ていただくと分かりますが、パソコンにキットをダウンロードすることで、私たちの開発した動作や言葉...
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