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Pepper店舗設置にあたり孫正義社長が大反対したこと

「Pepper」の全て(3)もしウチにロボットがいたら

蓮実一隆
ソフトバンクロボティクス株式会社 取締役 CMO
概要・テキスト
2015年6月に一般向け販売が始まったとたん、1000台限定の受付が1分で終了となった、ソフトバンクの感情認識パーソナルロボット「Pepper」。今や全国のあちこちで見かけるようになった「彼」は、どんなお仕事ぶりをみせているか。開発責任者であるソフトバンクロボティクス株式会社プロダクト本部取締役本部長・蓮実一隆氏が「彼」と一緒に伝えてくれる。(全4話中第3話)
時間:11:12
収録日:2016/03/15
追加日:2016/04/13
≪全文≫

●ソフトバンクショップにPepperが立つまで


 前回は、「Pepper」のキャラクターについて、人に迷惑をかけたりワガママを言ったりもするけれど、それはそれで可愛いという話をさせていただきました。とはいえPepperはそれほど安いものではない。今回は、彼がどのように役立つのかという話をさせていただきます。

 まず、いろいろな企業から引き合いやお問合せをいただいているということがあります。今では、おそらく1000社に近いでしょうか。大きなデパートやさまざまな施設、会社の受付に置きたいとか店頭で種々のセールスをしてもらいたいなど、Pepperの使い道には他にももろもろあると思います。

 一番最初、2014年に発表したばかりの時は、いきなりよそさまに就職して迷惑をかけるのも何なので、まずは仲間内のソフトバンクショップにPepperを送り込みました。今では2000店舗ぐらいになっているでしょう。結構身近な場所でPepperは働いていますので、行かれたらぜひいじってみてください。殴ったり蹴ったりされても大丈夫です。

 さて、今や当たり前の光景とも言えますが、Pepperがソフトバンクショップの中に普通にたたずんでいるのは、実はとんでもなく大変なことでした。最初はほとんど全員が、周囲に柵をつけようとしたのです。ところが、絶対に反対だという者が1名いました。大体お分かりだと思いますが、われわれのボスの孫正義です。「それをやれば、安全だし何事も起きないだろうけれど、それではちっとも未来を開くことにはならない」と言い出したのです。

 「Pepperはいずれ家族になるものなのに、その周りに柵をつけるとは何事だ。絶対に許せない。もし柵をつけるなら、俺は今すぐソフトバンクを辞める」

 何を言っているのかよく分かりませんでしたが、そこまで言うならチャレンジしようということで、関係者一同ハラハラドキドキしながら店舗内のいろいろなシミュレーションを重ねて、Pepperは店の中に普通にいることになりました。

 こうすることで、私たちもいろいろな経験ができました。日本人のほとんどはこわごわの様子で近寄りますし、しゃべりかけたりもあまりしません。ほとんどの人は頭をなでてきます(頭をなでられたら分かるようにセンサーも入っています)。あとは握手を求めたり、写真を撮りたいなどです。...
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