10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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2015年秋以降、資源相場からの脱皮が進む新興国通貨

ブラジルレアルの反発(2)グローバル要因

高島修
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
情報・テキスト
2015年10月以降、資源離れの動きがより顕著になってきた新興国通貨。中でもブラジルレアルは、悪材料が多発しているにもかかわらず健闘している。では、このような変化が昨年秋に発生した要因は何か。シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏が、ブラジルレアル反発のグローバルな要因について語る。(全3話中第2話)
時間:10:07
収録日:2016/04/08
追加日:2016/04/21
2015年10月以降、資源離れの動きがより顕著になってきた新興国通貨。中でもブラジルレアルは、悪材料が多発しているにもかかわらず健闘している。では、このような変化が昨年秋に発生した要因は何か。シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏が、ブラジルレアル反発のグローバルな要因について語る。(全3話中第2話)
時間:10:07
収録日:2016/04/08
追加日:2016/04/21
≪全文≫

●資源相場に連動して下落していた新興国通貨


 二つ目の観点からブラジルレアルの反発についてお話しします。いまご覧のグラフは、昨年(2015年)の1月から9月にかけて、主な新興国通貨が対米ドル相場でどのくらい騰落したかを示しています。ここに挙げている新興国通貨は、実は全て対米ドルで下落していたことが分かります。その中でも下落率の高かったのがBRL(ブラジルレアル)を筆頭とした中南米通貨(棒グラフ緑色)でした。中南米通貨というのは、鉄鉱石のブラジル、石油のメキシコ・コロンビア、銅のチリ、穀物のアルゼンチンというように、いわゆる資源国通貨が多いです。

 一方、世界的に見てパフォーマンスが安定していたのが、赤の棒グラフで示したアジア通貨でした。このアジア通貨の中で比較的下落率が高かったのがMYR(マレーシアリンギット)、IDR(インドネシアルピア)でした。マレーシアは原油・天然ガスの産出国、インドネシアも産油国というように、資源セクターへの依存度の高い通貨が売られていて、一方であまり売られていない通貨は、CNY(中国人民元)、TWD(台湾ドル)、INR(インドルピー)、PHP(フィリピンペソ)と、資源輸入国が並んでいます。

 このように、世界全体で見ても、中南米通貨という資源セクターへの依存度の高い通貨が売られていたし、赤のアジアを見ても同じような現象がありました。ということで、昨年9月までの新興国通貨は、明らかに資源安相場の様相を呈していたことが分かります。


●2015年秋以降、資源相場から脱皮し、健闘


 ところが、昨年10月から今年3月までの当該通貨のパフォーマンスを見ると、下落率の高いところでARS(アルゼンチンペソ)、ZAR(南アランド)、RUB(ロシアルーブル)などが並んでいます。この中で、アルゼンチンペソは政権交代による通貨切り下げ、南アランドはジェイコム・ズマ大統領のネネ財務大臣更迭による混乱といった特殊要因によるものでした。一方で、対米ドルでパフォーマンスの良かったところを見ると、グラフ右側のIDR(インドネシアルピア)、BRL(ブラジルレアル)、MYR(マレーシアリンギット)、TRY(トルコリラ)と、昨年売られた通貨が比較的安定してきたことが分かります。このように、実は昨年10月ごろから、新興国通貨は明らかに資源離れをする動きが出ていたのだということです。その動きが非常に顕著になっていたのがブラジルレアルだったと考えています。


●国内事情:ブラジル国債の格下げ懸念


 では、こうした変化が昨年秋に発生した理由は何でしょうか。私が注目している三つのポイントがあります。一つはブラジル国内の要因ですが、ブラジルの格下げ懸念が強まったことです。ご覧のグラフは、ブラジルレアルの対米ドル相場の動きと、スタンダード&プアーズ(S&P)による自国通貨建て長期国債の格付けを示しています。

 先ほどお話しした通り、2011年の中央銀行の金融引き締めから金融緩和への転換を見て、これがルーラ(ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ)大統領とジルマ・ルセフ大統領の違いで、「ブラジルレアルは下がる」と判断しました。結果的にそれは正しかったと思っています。実はこの時、S&PはブラジルをA-(シングルAマイナス)まで格上げしています。このことに象徴的なのですが、実は格付け機関の格付け判断は、市場動向を後追いしていく傾向にあります。そのため、すでにレアルが下がりそうな環境になっていたにも...
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