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ご当地発酵グルメが地域を救う!

発酵の町おこし

小泉武夫
農学博士/食文化評論者/東京農業大学名誉教授
情報・テキスト
郷土食豊かな発酵食品は、ご当地グルメの元祖でもある。滋賀の鮒鮓、石川県白山市のフグの卵巣のぬか漬け、長野の木曽すんき、北九州のぬかだき。山梨のワイン、チーズも発酵食品だ。食文化評論家で東京農業大学名誉教授・小泉武夫氏は、10年にわたって、こうしたご当地発酵グルメを生かした地域活性化を続けてきた。その取り組みと成功の秘密を語る。
時間:09:32
収録日:2016/02/04
追加日:2016/04/28
≪全文≫

●始まりは秋田県横手市の発酵文化研究所


 皆さん、こんにちは。今日は「発酵の町おこし」という話をします。

 私たちは、今から10年前に、「発酵の町」というのがあるかどうかを全国調査したことがあります。そうすると、やはり発酵の町はありました。例えば、秋田県の横手市には味噌屋さん、麹屋さん、造り酒屋さん、漬物屋さん、納豆屋さんがたくさんあり、「横手市はすごいな」ということになりました。そして、あちこち探すと、昔からずっと発酵でやってきたという町が非常にたくさんありました。そこで、「発酵は非常に素晴らしい人間の文化の一つだから、発酵で町おこしをしようじゃないか」という考えになり、「全国発酵のまちづくりネットワーク協議会」という組織をつくりました。私はその呼びかけ人ですから、立ち上げから現在までずっと会長を務め、素晴らしい成果を上げています。

 本部は、第1回目のサミットを開催した秋田県横手市にあります。歴代の市長がものすごく一生懸命やってくれて、今は全国的に浸透しました。そこで、横手市には「よこて発酵文化研究所」という研究所までつくりました。最近は、いろいろな雑誌で、横手市の発酵文化研究所が取り上げられ、横手は「発酵の町」として浸透してきました。


●「全国発酵食品サミット」で各地を次々と活性化


 その後、どんな所でやっているかというと、全国発酵食品サミットを全国でやっています。全国発酵のまちづくりネットワーク協議会の理事会をするときには、必ずその町で全国発酵食品サミットをするのです。全国の発酵食品の町が一カ所に集まって、その町の発酵食品をどんどん持っていきます。これがすごいことになっています。年々規模がどんどん大きくなっています。

 これまでやってきたことを少し紹介すると、例えば滋賀県の高島市でも町をあげてやりました。高島市は鮒鮓(ふなずし)で知られた町です。ところが、行ってみると、鮒鮓だけではありません。朽木(くつき)の方には鯖のなれ鮓もあったり、味噌屋さん、醤油屋さん、造り酒屋さんもあったりと、高島市は発酵文化が非常に盛んな所です。ここで発酵サミットをすると、大阪から京都からどんどん高島市に人が訪れました。例えば、地元の小学校では、顕微鏡を何台も並べて置き、そこで大学の先生方が子どもたちに発酵微生物を見せてあげる。それから、発酵料理コンテストをやったり、全国の発酵の町から集まってきた全国の発酵食品の即売会をやったり。1回開催すると、だいたい1日10万人から15万人が来訪します。それを高島市でやりました。

 去年(2015年)3月に北陸新幹線が金沢まで開通しました。金沢の隣に白山市という所があります。ここが発酵の町なのです。ここもわれわれのグループに入ってくれました。北陸新幹線開通直後に、お祝いを兼ねて、全国発酵食品サミットを、全国発酵のまちづくりネットワーク協議会と一緒に開催しました。これはすごかったです。石川県知事も来てくれて、さらに石川県出身の参議院議員と衆議院議員も全員その発酵サミットへ来てくれて、素晴らしい催しになりました。サミットは、白山市が中心になってやってくれました。ここは世界でも有名なフグの卵巣のぬか漬けの町で、猛毒のフグを発酵させて食べてしまう、商品にしてしまう。そういうわけで、この白山市も全国発酵のまちづくりネットワークに入ってくれました。とても盛大でした。

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