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記録的ポンド安の背景にあるイギリスの経常赤字問題

ブレグジットと英ポンド相場(2)英ポンドの長期的問題

高島修
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
情報・テキスト
英ポンドの対米ドル相場は30年近く1ポンド1.4ドルを下値支持線として続いてきたが、今回のブレグジットによって1.4ドルを割り込む形となったという。これについて、シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏は、記録的なポンド安が始まった可能性を示唆し、「背景にはイギリスの根本的な経常赤字問題がある」と語る。いったいどういうことなのか。英ポンドが抱える長期的問題について、高島氏が詳細に解説を加える。(全4話中第2話)
時間:09:40
収録日:2016/07/06
追加日:2016/07/10
英ポンドの対米ドル相場は30年近く1ポンド1.4ドルを下値支持線として続いてきたが、今回のブレグジットによって1.4ドルを割り込む形となったという。これについて、シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏は、記録的なポンド安が始まった可能性を示唆し、「背景にはイギリスの根本的な経常赤字問題がある」と語る。いったいどういうことなのか。英ポンドが抱える長期的問題について、高島氏が詳細に解説を加える。(全4話中第2話)
時間:09:40
収録日:2016/07/06
追加日:2016/07/10
≪全文≫

●ポンドの長期的推移-記録的ポンド安に向かう可能性


 イギリスのEU離脱という中、英ポンドの長期的推移、あるいは長期的課題という2点目のポイントについてお話ししたいと思います。今、見ていただいているグラフは、英ポンドの1971年以降の推移を示しています。1971年は、アメリカが金・ドル交換停止をした年で、いわゆるニクソン・ショックが起こった年です。このニクソン・ショックが起こった後、米ドルは円、ドイツマルク等々に対して、著しく、なおかつ長期的に下落をしたのですが、実は英ポンドはその米ドルに対しても下落するという動きを続けていきました。

 結果的には1985年のプラザ合意が行われた時には、1ポンド1米ドルのパリティ(等価)に近づくポンド安になっていたのです。このあたりのポンド安は、ポンド自体に問題があったというよりも、レーガン政権下において強いアメリカが、強いドル政策(高金利政策)を行った結果、米ドルが上昇したという側面があったのです。いずれにせよ、1985年に1ポンド1ドルのパリティに近づいたところで大底を付けて、その後はおおむね1ポンド1.4ドルが長期的なポンドの下値支持線、いわゆるサポートとして機能していたわけです。

 この30年来のポンドのサポートを、今回明確にブレイクして下がるという動きになってきました。つまり、これまでと比較しても記録的なポンド安が始まった可能性がうかがえるということです。ちなみに、対円相場を見ていただきますと、足元150円を割り込んで130円割れのリスクが出てきているわけですが、そもそもニクソン・ショックが起こった1971年にポンド円はいくらだったかというと850円台でした。ですから、それだけポンドはドルや円に対して、長期的に見ると下落してきた通貨だということがいえると思います。


●ポンド安の最大要因はイギリスの経常赤字


 こういった中、対米ドル相場で1ポンド1.4ドルという30年来のサポート、(下値支持線)を割り込むような非常に重要なポンド安の変化が今起こっている背景を考えてみると、短期的にイングランド銀行(イギリス中央銀行)が金融緩和をするからポンドが安くなるといった側面もありますが、根本的にはイギリスの経常赤字が非常に大きいことがその背景にあると考えています。

 今、見ていただいているグラフは、イギリス、アメリカ、ユーロ圏の経常収支を対GDP比率で見たものですが、実はイギリスの経常赤字が昨年来、GDP比5パーセントを超えて拡大、6パーセントに迫るといった感じで、赤字が拡大しています。このGDP比6パーセント近くの経常赤字は、2006年ぐらいにアメリカが経験した水準なのです。この時はドル安のスパイラルが発生していて、為替相場の中では、経常赤字が5パーセントを超えて拡大してくると、かなり危険なゾーンに入ってくるという見方がされるようになりました。今ちょうど、イギリスの経常赤字が10年くらいのタイムラグをおいて、アメリカが経験したレベルに拡大しようとしているということです。


●原油安でもシリアスな経常赤字を改善できない理由


 このイギリスの経常赤字の拡大なのですが、まず、アメリカの経常赤字が縮小している中でも起こっているということが、一つのポイントです。では、アメリカの経常赤字が縮小している理由は何かというと、一つ目はシェール革命の結果、アメリカ国内でエネルギーの生産ができるようになったこと。二つ目は、さはさりながら、アメリカはまだ原...
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