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高速画像処理が産業や医療分野で革命的な効率化を実現

高速ビジョンが創る未来(5)産業・医療分野への応用

石川正俊
東京大学大学院情報理工学系研究科 教授
情報・テキスト
例えば、本1冊を1分でスキャニング。例えば、時速100キロメートルで走行中の車から、壁にある0.2ミリメートルのクラックを見つける。東京大学大学院情報理工学系研究科教授・石川正俊氏が産業分野、医療分野での超高速画像処理の活用について語る。(全7話中第5話)

※テキストの文中に参考動画(YouTube)へのリンクがありますので、併せてご覧ください。
時間:09:30
収録日:2016/01/07
追加日:2016/08/06
≪全文≫

●トンネルや工場での検査に画期的利便性


 次は、高速の画像処理の産業応用と医療応用についてお話をしたいと思います。まずは産業応用です。高速の画像処理で検査をしようということです。高速の画像は、高速に動いているものからの検査、あるいは、高速に動いているものに対する検査には、強力な武器を提供することができます。

 まず、最初の応用は、トンネルの壁の検査です。トンネルの壁の検査は、通常、打音検査などいろいろな検査を年に1回程度でやっています。しかし、それでは頻度が低すぎるということで、残念ながら打音検査まではできないけれども、目視検査に関しては高い頻度で検査をしたいということで、高速に走行する自動車から壁のクラックを検出することを研究としてやっています。

 今、およそ時速100キロメートルの車からトンネル壁面の0.2ミリメートルのクラックが見えるようになってきました。これは、特殊なやり方をしてそれを見えるようにしています。こういったものが実現されると、高速道路に規制をかけて通行止めにすることなく、通常の走行車両の中からトンネルの壁面の検査ができるようになると、大いに期待されています。

 また、トンネルでなく通常の工場の中でも、高速移動している物体を移動途中で形状検査をしていきます。それを1000分の1秒でやると、多くのものが検査できるようになります。例えば、1000個の対象がずっと流れているものであっても、われわれの開発した技術では、1000個の対象を1000分の1秒ごとにトラッキングすることが可能です。つまり、1000分の1秒ごとに1000個の対象の形状の検査は終わります。ですから、部品が多く、小さな部品が多く流れるような場面でも、その流れを止めることなく、流れの中で検査ができます。


●本1冊をわずか1分で電子化することが可能


 また同時に、構造証明という形状の計測ができます。こちらからあるパターンを照射して、そのパターンがカメラにどのように映ったかを、1000分の1秒ごとに解析することで形状を取得することができます。1000分の1秒で3次元の形状が取得できますので、1000分の1秒での3次元形状の検査もできますし、その形状を使っていろいろな操作もできるようになります。

 その一つの例が、高速の本のスキャンです。本をパラパラとめくるだけでスキャンが終わる、つまり、電子化が終わるという装置です。

【参考動画1】高速・高精細書籍電子化

BFS-Auto: High Speed Book Scanner at over 250 pages/min
https://www.youtube.com/watch?v=03ccxwNssmo


本をめくる際、本は曲がっています。この曲がった状態で撮影をすることになるわけですが、曲がった状態をそのまま撮影しただけでは、その曲がり方が分かりません。文字の形がどう曲がったかという情報を得て、その情報から平らにするのですが、アルゴリズムは大変複雑になります。

 ところが、われわれの場合は、3次元の形状情報を1000分の1秒で取得できます。1000分の1秒で形状情報が取得できるので、その情報を使って曲がっていることを理解します。それと同時に、高分解の映像を撮って、その映像を3次元形状の情報を使って平らに戻す。そのことを、リアルタイムに実現することができます。つまり、形状の情報と曲がった映像の両方を処理すれば、平らな映像に直すことが高速にできるわけです。これがこの装置の特徴です。

 実際のスピードとしては、1分間に250ページの本の電子化が可能です。つまり、一般的な本1冊が1分間で電子化できるのです。これは、世界でも最高速の部類に入る電子化の装置です。


●顕微鏡手術など、医療分野でも活用できる


 こうした技術はいろいろな検査に使われますが、その一つが医療用です。皆さん、医療用の顕微鏡像をご覧になったことがあると思いますが、顕微鏡像は、下の対象を少し動かしただけでも、像としては非常に早く動いてしまいます。下を動かす装置にアクチュエータを付けて、早く動く像をきちんと制御することによって、対象が動いているにもかかわらず、止まっているように見えるシステムを組むことができます。こういった技術を、マイクロビジュアルフィードバックといっています。顕微鏡の中の像の位置を、顕微鏡の下に付けたアクチュエータで制御するというものです。

【参考動画2】ゾウリムシの高速3Dトラッキング
テキスト全文を読む
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