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東大生もかなわない?湖南大学で感じた中国の人材養成力

湖南省訪問記(2)名門・湖南大学で感じた中国の「底力」

島田晴雄
公立大学法人首都大学東京 理事長
情報・テキスト
湖南大学
名門・湖南大学で200人の中国人学生を相手に中国語で講演をした千葉商科大学学長・島田晴雄氏。その後の質問のやりとりに、島田氏が感じた中国の「底力」とは?(2016年6月28日開催島田塾第136回勉強会島田晴雄会長講演「ラオス、湖南省訪問の報告」より、全2話中第2話)
時間:11:15
収録日:2016/06/28
追加日:2016/09/26
ジャンル:
≪全文≫

●会場には中国語と日本語と英語が飛び交った


 セミナーでは、まず私に対する客座教授(客員教授)の授与式が行われました。これはおそらく段躍中先生が仕掛けたに違いないのですが、ありがたいお話です。いつかこの一流大学である湖南大学に2カ月ほどいて、中国語をもう少し上手になろうかと思っています。その湖南大学で講演をしました。約2時間のセミナーで、最初に私が問題提起をしました。段先生は、できるだけいい問題提起をさせたいという思いから、最初の挨拶くらいはいいがその後は日本語でやってくださいと言いました。しかし、私は頑として中国語でやりたいとお願いしました。中国語の2ページの原稿があるのですが、私はこれを中国語で演説したのです。30分かかりましたが、少し聴いてみてください。

 何を言っているかというと、「村塾の人たちを連れてきました。大変感謝します。この名門・湖南大学でこういう機会をアレンジしていただき、心から感謝しています」ということです。それから、段躍中先生ともう一人の教授の方にご挨拶をしています。そして、「質問は中国語では聞き取りが難しいので、日本語のできる学生は日本語で聞いてください。そうでなければ英語で聞いてください」とお願いし、「私は英語も日本語もできますからどうぞ」と言ったら、皆さん笑っていました。

 その後、「中国は3000年の文明史を持つ、世界で最も歴史の長い国です。国土は日本の約27倍で、人口は約11倍、漢民族はじめ56の民族が共存しています。3000年の歴史の中には、大小合わせると、およそ25ないし35ほどの王朝があり、明朝と清朝は世界最大級の帝国です」という話をしました。

 ということで、挨拶の後、中国の歴史をたどり、「新常態」経済に至るまでの話と、どうして「新常態」になったのかを説明しました。それから、日本については、日清戦争に勝ってからずっと戦争ばかりしていたこと、戦後は深く反省して完全な平和国になり、今はアベノミクスと構造改革が大変ですがそれらを進めている最中であること、お互いに協力し合ってプラスのものを生み出しましょう、というような話を30分かけてしました。

 片言の中国語でしたが、後で学生さんに聞いて非常にうれしかったのは、皆さんが「分かった」と言ってくれたことです。普通なかなか分からないものですが、ある程度は分かったようです。ただ、それはうれしかったのですが、しかし私は彼らの中国語をリスニングできません。本当に難しいのです。そこで質問は全部日本語か英語でしてくださいとお願いしました。両方とも私は得意だから、などと冗談を言って、です。

 そうすると、皆さん、実に見事でした。日本語のできる人は日本語、英語の人は英語で質問をした後、「私はこういう質問しました」ということを中国語で説明するのです。質問を日本語でした人も英語でした人もそれをやる。200人の学生さんがいましたが、そこでは中国語と日本語と英語が見事に行き交っていました。驚きました。このレベルは、日本では、東京大学も慶応大学もできないと思います。


●質問でわかった中国人学生の優秀さ


 質問の内容も素晴らしかったのです。どういう質問だったか、5つほど紹介します。一つ目はこちらです。

 「島田先生は1997年から2006年まで政府の税調委員をしておられました。安倍政権が2014年の消費税引き上げに続き、2017年4月に再引き上げを予定しています。しかし、経済は低迷していて、再引き上げは不況を誘引する恐れがある。国の内外に慎重論が高まっている中、安倍首相はリーマンショック級の衝撃でもなければ引き上げをすると言明していますが、それは本気なのですか?」

 このような質問を日本語でするのです。私は、「大局的な意見だが、政治判断だから消費者の動向次第でしょう」と答えました。その後、もっとすごい質問がありました。私はスピーチの中で、失われた20年といわれる日本の長期デフレの要因として、プラザ合意に遠慮して引き締めが遅れたからそうなったのだという説明をしていました。しっかりと聞いていたのですね。それを受けての質問です。

 「日本はデフレで20年苦しんだ。失われた20年と言われる日本の長期デフレの理由として、島田教授は、1987年中盤以降のアメリカの円切り上げ要求を受けて輸出減少を恐れた日本政府が景気拡大策をとり続けてバブルが膨張したので引き締めが遅れた分、強烈なバブル潰し政策が取られたことを挙げていますが、原因は、その他にも産業構造や高齢化問題から教育まで、多岐にわたるのではないですか?」

 見事なものですね。私はこう答えました。「質問はなるほど見事で、私の説明よりもっと総合的で、結構なことだ。ただ、もう一つ言っておくが、中国をはじめとす...
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