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共和党トランプ政権誕生でどうなる?ドル高円安の先を予測

トランプ時代の米ドル相場(2)ドル高の不透明感

高島修
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
情報・テキスト
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト・高島修氏は、「来年、あるいは再来年までドルは上昇しやすく、その後は下落しやすくなってくる」と予測する。それはなぜなのか。トランプ次期大統領の政策とどう関連してくるのか。(全3話中第2話)
時間:12:39
収録日:2016/11/17
追加日:2016/12/03
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト・高島修氏は、「来年、あるいは再来年までドルは上昇しやすく、その後は下落しやすくなってくる」と予測する。それはなぜなのか。トランプ次期大統領の政策とどう関連してくるのか。(全3話中第2話)
時間:12:39
収録日:2016/11/17
追加日:2016/12/03
≪全文≫

●共和党政権では最初にドル高円安が急速に進む


 2つ目のポイントとして、長期的な観点でドナルド・トランプ大統領誕生がドル円相場にどういった意味合いを持つのかを見ていきたいと思います。

 今見ていただいているグラフは、2005年から大統領に就任したジョージ・W・ブッシュ氏(ブッシュジュニア)のお父さんであるジョージ・H・W・ブッシュ氏(パパブッシュ、ブッシュシニアとも呼ばれている)が1988年の選挙で勝利して以降のドル円相場がそれぞれの大統領の任期4年間にどのように変化してきたかを示しています。共和党のみが赤、民主党のみが青、両者の平均が黒になっています。ちなみに、アメリカの共和党はパーティーカラーが赤で、民主党は青なのです。ですから、共和党と民主党を示す場合は一般的にそれぞれ赤と青を使うことが多くなっています。

 これを見ていただくと端的に分かるのですが、共和党が勝ったときは最初の1年半ほどでドル高円安が急速に進んで、3年目、4年目にドルが持続的に下落する傾向があります。一方で、民主党が勝った場合、1、2年目のドル高が比較的抑制されている代わりに、3年目、4年目のドル安も比較的マイルドです。

 1988年以降の共和党政権は、ブッシュシニアの1期、ブッシュジュニアの1期目、2期目と3回あったのですが、1、2年目にドルが一気に上がった後で、3年目に下がるという傾向が全て当てはまっています。民主党政権はビル・クリントン政権が2回、オバマ政権が2回でしたが、ドルのパフォーマンスはまちまちで、平均してみると、上げ下げは比較的マイルドだという結論が出ています。


●共和党政権が誕生すると財政刺激策が行われる


 どうしてこうした傾向が出るのかといえば、私の仮説では、財政政策が関係しているのではないかと思います。1980年代後半から、共和党が減税政策による財政刺激策を主張する傾向が比較的強まった一方で、民主党は財政健全化に力点を置くようになっています。歳出を少し増やす傾向にあるのですが、財政規律を守るという意味においては比較的、共和党より民主党の方が力を入れている印象が強いのです。

 共和党政権が誕生すると財政刺激策が行われますから、それによる経済刺激効果があって、最初はドルが上昇しやすいのです。しかし、財政刺激策は4年間同じ金額で行っていくと、1年目だけは経済成長率にプラスに貢献した後、2年目以降はベース効果が減って、威力がなくなっていきます。経済成長率は1年目に改善した後、2年目以降に力を失っていくということです。そうすると、FRB(連邦準備制度理事会)が金融緩和局面に入り、景気が悪化し、財政事情も雪だるま式に悪化していき、ドル安が激しく進むのではないかと私は考えています。この整理はあくまで仮説です。

 一方で、民主党政権の場合は、財政政策に関して言えばそれほど強いイニシアティブがないため、影響がまちまちに出てきます。むしろ日本やヨーロッパ、中国、ブラジルなど、アメリカにとって海外の経済政策がドル相場に与える影響が増えてくることによって、民主党政権のときはドルのパフォーマンスがまちまちになってくるのではないかと考えています。


●トランプの財政政策は従来の共和党方針を踏襲している


 次のスライドは、1989年ブッシュ政権以降のアメリカドルの通貨指数とアメリカの財政収支の動向を見たものです。

 このスライドの重要なポイントは2点で、1点目は1、2年くらいのタイムラグは発生するものの、ドル指数の大きな転換点が大...
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