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母親の「無償の愛」は“最も神仏に近い”

ほんものの坂本龍馬(10)質疑応答―母の徳、無償の愛2

松浦光修
皇學館大学 文学部国史学科教授
情報・テキスト
ノーベル賞など、世界的にインパクトのある業績は現代でも讃えられる。しかし本当に讃えられるべきなのは、育児や介護を見事にこなした「普通」の人々ではないのか。かつて江戸時代の女性たちが、立派な母の背中を模範としたように。皇学館大学国史学科教授・松浦光修氏が、「称賛」のあり方から、現代に足りないものを論じる。(講話「ほんものの坂本龍馬」を終えての質疑応答編その5、全10話中最終話)
時間:06:16
収録日:2015/11/28
追加日:2016/12/27
ノーベル賞など、世界的にインパクトのある業績は現代でも讃えられる。しかし本当に讃えられるべきなのは、育児や介護を見事にこなした「普通」の人々ではないのか。かつて江戸時代の女性たちが、立派な母の背中を模範としたように。皇学館大学国史学科教授・松浦光修氏が、「称賛」のあり方から、現代に足りないものを論じる。(講話「ほんものの坂本龍馬」を終えての質疑応答編その5、全10話中最終話)
時間:06:16
収録日:2015/11/28
追加日:2016/12/27
≪全文≫

●「普通」の人々こそ讃えよう


質問8:江戸時代の母親は様々な事例を通して学び、さらに各藩も立派な母親を表彰するなどしていた。そういう形で母親への教育はうまく行っていたのか。

松浦 (昔はうまく)回っていました。今は、ノーベル賞くらい取らないと、表彰されることはありませんが、昔は普通の人が立派な母親であった、ということで、表彰されていた時代でした。そういう表彰は、最近ではあまり聞いたことがないですね。

 「立派に子育てをしました。立派に介護をしました。だからその人を讃えるべきだ」ということで、お殿様が率先してやってくれていました。ものすごく文明的な社会だった、と思います。今は、お金を儲けたとか、偉くなったとか、大発明をしたとかいったことでなければ世間は人を讃えない。それも当然讃えるべきなのですが、もう一歩進んで、普通の暮らしを、見事に成し遂げた人の価値を讃えるべきでしょう。それを、みんなが忘れてしまっている気がします。別に本人たちは表彰されたくもないでしょうが、でも(育児や介護を立派にやることは、)人が手本にすべき生き方なのだ、ということを、社会がもう少し認めるべきですね。

 先祖を誉めるのは大事なことです。昔の子どもが悪口を言い合うとき、「お前の母ちゃんデベソ」と言っていました。「お前がデベソだ」と言われるより、「母ちゃんデベソ」の方が傷つくのですよ。なぜかというと、母親というのは、自分を生んだ、自分の根源だからです。もっと言えば、自分の先祖の悪口を言われて、ものすごく戦後の日本人は傷ついていると思います。それこそ南京だとか、慰安婦だとか、侵略だとか、植民地だとか、何だかんだ言われて、目に見えない傷が、たくさんできていると思います。


●自己肯定感の回復には、真の歴史を学ぶことが必要だ


松浦 まず自己肯定感の回復には、歴史学が必要です。ところが、歴史学をやればやるほど、日本が嫌いになります。今の歴史学のほとんどに、まだマルクス主義が残っていますので、近代史を勉強すればするほど、気持ちが暗くなるという学生は、多いですね。反日的な人たちはあらゆるところに、例えば学界にも、徹底的に入り込んでいます。

 だからまずは、歴史学者をあまり頼りにせず、自分たちで昔のものを読み、自己肯定感を取り戻す本を広めていく。それから、そういった本を、みんなで読んだり、ネットで拡散させていくなど、いろいろな方法があると思います。

 否定するのは簡単です。人間1人を一人前に育てるのに、費用としては何千万、歳月としては何十年かかるのに、消滅させようと思ったら、包丁1本を使えば、一瞬で消滅します。否定というのは、ある意味で簡単なのです。しかし、育てることや教えることは、ものすごく地道で根気がいるし、苦労もいる仕事なのです。だから、それをやっている若いお母さんたちに対する敬意を、社会全体が払わないといけないと思います。

 私も、この間タクシーに乗ろうとして、ベビーカーを畳むのが大変な若いお母さんが目の前にいたので、走っていって、一緒にそのタクシーのトランクに乗せました。こういったことを、東京駅でやりました。ちょっとしたことでも、そういった子育て中のお母さんを応援しようという気持ちを、国民全体が持つことが大事かな、と思っています。


●「無償の愛」という母性のすごさ


松浦 もう一つ、母性というものがいかにすごいかということです。私は長崎の天主堂に行くと、好きなマリアさんの像があって...
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