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ブルーライトは本当に目に悪いのか?

目の健康と医療・最前線(1)ブルーライトは目に悪いのか

大鹿哲郎
筑波大学眼科教授
情報・テキスト
目の健康は、私たちの生活を大きく左右する、一大関心事である。筑波大学眼科教授・大鹿哲郎氏が、最新の研究成果を踏まえ、目の健康に関する最前線の情報をお伝えする。第1回目の今回はブルーライトが与える目への影響についてだ。(全5話中第1話)
時間:07:25
収録日:2017/02/25
追加日:2017/03/03
ジャンル:
≪全文≫

●ブルーライトは、本当に目に悪いのか


 筑波大学眼科教授の大鹿哲郎です。今日はまず、最近よくいわれる「ブルーライト」の影響についてお話しします。ブルーライトは本当は目に悪いのではないかといわれていますが、一方では実は良いのではないかという説もあります。

 最近、蛍光灯に代わってLEDライトやスマホが非常に普及し、ブルーライトが世の中にあふれ、接する機会が増えています。その一方で、ブルーライトを選択的にカットし、目に入らないようにする眼鏡も売られています。このように、ブルーライトがどの程度目に影響するか、非常に関心を持たれている方も多いと思います。

 ブルーライトとは、短波長から長波長にわたる可視光のうち短波長の方の光で、一番短いものをいいます。具体的には400~500ナノメートルほどの光です。光のエネルギーは短波長の方が強く、いろいろなものに影響が強く出る可能性があります。


●ブルーライトは、一日のリズムを作りだすのに必要だ


 私たちはブルーライトをどこで感知しているのでしょうか。十数年前に網膜の新しい細胞が見つかりました。第四の網膜神経節細胞といわれるものです。私たちは、そこでブルーライトを感受しています。この細胞でブルーライトを感受すると、頭にその信号が伝わって、そこでメラトニンという物質が産生されます。このメラトニンが、体内時計をつかさどります。

 人間の一日のリズムを、概日リズムといいます。朝起きて光を浴びると、ブルーライトを網膜で感知して、人間は朝になったことを感じます。逆に夜はだんだんと暗くなるのでブルーライトが少なくなり、次第に眠くなります。こうした一日のリズムをつかさどっているのがブルーライトであり、それを感知するのが第四の神経節細胞ということになります。

 このリズムが乱れてしまうと、よく眠れなかったり、あるいは不眠症になったり、逆に昼間眠くなったりします。最近このブルーライトが増えているという話をしましたが、特に問題になるのは、夜寝る前にスマホや液晶テレビをずっと見たり、コンピュータの作業をしたりすることです。そうするとブルーライトが目に入るので、一日のリズムが狂ってしまい、寝付きが悪くなることは確かにあると思います。

 しかし逆に、朝はブルーライトが必要です。それをカットして目に入れないのは、あまり良くありません。だから朝にはブルーライトが必要なのですが、夜寝る前にはカットした方がいいということです。例えば海外に行くと、時差ボケに苦しむこともありますが、そうしたときには「屋外に行って太陽の光を浴びましょう」といわれます。これにはブルーライトが影響しています。つまり、太陽光を浴びることで一日のリズムを取り戻しましょう、ということです。他にも、パイロットが海外に行くと、昼間はゴルフをやって光を浴び、時差ボケを治すという話がありますが、これも同じことです。


●必要以上にブルーライトを怖がる必要はない


 他方で、概日リズム以外にもブルーライトが影響するという話もあります。最近の説ですが、ブルーライトは短い光なので、空中の塵などいろいろなものに反射して散乱しやすいため、それがコンピュータの画面や像のブレにつながってしまい、目が眼精疲労を起こして、ピントを合わせにくくなるといわれています。つまり、光が散乱することで、像がボヤけてしまい、それで目が疲れやすくなるのではないかという説です。しかし残念ながら、これはまだエビデンス(証拠)がある話ではあり...
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