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被災地の漁師を勇気づけた水中カメラロボットの活躍

遠隔操縦機~カメラロボ(1)津波災害調査

浦環
東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役
概要・テキスト
九州工業大学社会ロボット具現化センター長・浦環氏が、3.11後の海底観測に用いられた水中カメラロボットを解説する。調査の結果、海底にはがれきが落ちておらず、漁業がすぐに再開できることが分かった。被災地の漁師を勇気づけ、復興に大いに貢献したカメラロボが活躍するための4つの条件とは何か?(全5話中第1話)
時間:12:28
収録日:2017/01/27
追加日:2017/04/09
≪全文≫

●3.11後に活躍したカメラロボット


 今回は2011年3.11の地震・津波災害で、海中ロボット、特に遠隔操縦ロボットがどう活躍したか、われわれはそれをどのように使ってきたかということをお話しして、今後のロボットのあり方をお話ししたいと思います。

 ご存じのように、2011年3月11日に津波が起きて、多くのものが海に流されました。われわれは遠隔操縦機であるカメラロボットを使って、海底観測をしました。津波の後に海底が一体どうなっているのかということを、カメラロボットを使って、漁師さんを含めて世の中に見てもらったのです。一体どのようなプロセスで、どのようなことをやってきたかということをご紹介して、遠隔操縦機がどれほど役に立つか、どのように使えるか、問題点は何か、ということをお話ししたいと思います。


●遠隔操縦機カメラロボによる海底観測


 これは大槌湾でROV、RTV-100というカメラロボットを運転してる様子です。自動車が落ちています。深さ16メートルで、北が0度を指しており、ここは45度を指しています。だいたい北東を向いているということです。2011年5月1日10時7分23秒の時点の海底を見ています。

 次は、5月18日の南三陸町です。水深34メートルの所に岩場があって、ウニがいます。これを見ていただくと分かるように、がれきがあるわけではありません。もちろん津波以前にどうなっていたのかというビデオ記録がないので、比較はできないのですが、現在の海の底がこのようになっているということをお見せしたわけです。これは、私ども東京大学の横断型組織である、海洋アライアンスが主催となって行ったプログラムです。

 これは大槌湾ですが、海底からロープが立ち上がっています。養殖のいけすや、浮いている漁具をつなぎ止めているものが切れて、下のコンクリートでできたアンカーの所から立ち上がっているという状況です。次は自動車が沈んでいる所です。こういうものもある一方で、何もないフラットな砂地の海底が広がっているというのも見えています。それからこれは割と浅い所です。大槌湾の東側の防波堤が崩れて、その周りがどうなっているかを見ているところです。

 4月の末に最初のオペレーションをしたあと、日本財団さんから資金を得て、8月24日までにこれだけの港を含めて海岸、湾内をロボットで調査しました。これをそれぞれの場所の漁業組合さんと共同して...
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