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南三陸町海底の再調査とカメラロボット普及の課題

遠隔操縦機~カメラロボ(5)水産高校への普及

浦環
東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役
概要・テキスト
九州工業大学社会ロボット具現化センター長・浦環氏が、南三陸町での2度目の調査について解説する。この調査では、新たに音響装置を用いることに成功した。今後は、いざというときのために、カメラロボット操縦者の育成が課題である。水産高校にカメラロボットを寄付し、普及を進めるという計画が明らかにされる。(全5話中第5話)
時間:15:35
収録日:2017/01/27
追加日:2017/06/04
≪全文≫

●志津川湾の海底調査


 これは志津川湾ですが、赤いハッチがしてある所に漁具が設置されており、漁業者がここで活動をしています。この湾の内側は、ほとんどに漁具が入っていました。このように広いところは本当に調査が大変だと思いました。Murphyさんたちの調査で分かっていたように、湾内にはいろいろなものが落ちています。そこでわれわれは湾内ではなく、その外の海底を調べるということを目的にしました。

 この調査にあたっては、「遺体捜索に行くわけではない」と、あらかじめ公言していました。先ほど申しましたように、遺体捜索は海上自衛隊と海上保安庁、そうした国の組織の仕事だからです。われわれ民間人がそうしたことを標榜すべきではありません。このようにして、先に申し上げたような調査をしたわけです。


●再調査の依頼


 これは先ほどの図をクローズアップしたものです。志津川の漁業組合の方と、たくさんの地点を調べました。調査の結果、今すぐにでも漁業施設を設置できることが分かると、漁業組合の方々は元気になり、実際、すぐに設置を始めました。しかし、再び9月ごろに電話がかかってきて、「もう一度調査をしてくれないか」と言うのです。われわれは湾の全域を調査したわけではなく、やり残した所がありました。そこに漁業施設を設置するとなると、海底にどういうものがあるか、もう少し詳しく知っておきたいというわけなのです。そこで9月にもう一度志津川に向かうことになりました。


●音響装置を使った海底調査


 5月の調査と9月の調査はどう違うか。5月の調査では、とにかく準備の時間がなく、あるものを持っていって、最低限のことしかできませんでした。しかし、9月の調査の折には、もうすでに多くのことが分かっており、その準備をすることができました。

 今度は、サイドスキャンという音響装置を使って、海面から海底の様子を調べることにしたのです。これで何が落ちているのか、その分布が面的に分かります。そのうえで、遠隔操縦機のカメラロボを潜らせて、そこにたまっているものが何かを特定する、そういう作戦に出ました。サイドスキャンについては、東陽テクニカさんに協力をお願いをし、彼らも二つ返事でやってくれました。

 まず反射の強いところを選別して、インターフェロメトリーソナーを使って海底の凹凸を確認します。そうして、大きな残骸がある可能性の...
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