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オンラインSPA(製造小売業)が業界を変える

AIとデジタル時代の経営論(1)オンラインSPAの衝撃

一條和生
一橋大学名誉教授
概要・テキスト
一橋大学大学院国際企業戦略研究科研究科長・教授の一條和生氏によれば、世界の経営者は「デジタルディスラプション」に相当な危機感を抱いている。例えば、オンラインSPAの登場によって、従来のアパレル産業は深刻な変化にさらされてきた。単にデジタルテクノロジーだけではなく、従来の企業のあり方全体の変革が必要である。(2017年7月24日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「AIとデジタル時代のリーダーシップ」より、全9話中第1話)
時間:13:51
収録日:2017/07/24
追加日:2017/10/22
≪全文≫

●海外の経営者はデジタル破壊を最重要アジェンダにしている


 今回のテーマは、AIとデジタル時代のリーダーシップです。私が他の人と違いがあるとすれば、常に世界とつながっているということでしょうか。ここにIMD(International Institute for Management Development、国際経営開発研究所)と書いてありますが、これはスイスのローザンヌにある、経営者教育で世界トップクラスのビジネススクールです。私は2003年に、日本人で初めてIMDの教授に就任しました。今は一橋大学大学院国際企業戦略研究科の研究科長ですが、2010年までは実質的にIMDが私の本拠地でした。もちろん、今でもIMDのアジアンプロフェッサーを務めていますし、他にもスペインのIEビジネススクールなど、いろいろなところで仕事をしています。

 今、エグゼクティブ教育の世界で、最もホットなトピックは、「デジタルディスラプション(digital disruption、デジタル破壊)」です。ロンドン・ビジネス・スクール、IEビジネススクール、INSEAD、IMD、世界中どこでも、この問題が最も盛んに論じられています。世界の経営者たち自身も、デジタルディスラプションを最重要のアジェンダにしています。海外の経営者たちの危機感は、半端ではありません。IT担当者ではなく、CEO自身がそうなのです。ところが、世界の経営者と日本の経営者には、非常に温度差があります。日本の企業の経営者は、デジタルディスラプションへの危機感を持っていません。これは非常に問題だと思います。


●柳井正氏は情報製造小売業を変革のビジョンに掲げた


 ただし、日本企業の中でも、そうした危機感を持っている方はいます。代表的な人は、やはりファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏でしょう。柳井氏の危機感は半端ではありません。社員がついていけないほどです。

 柳井氏は最近、未来のキーワードを掲げました。「情報製造小売業」です。ユニクロはSPA(specialty store retailer of private label apparel、製造小売業)ではない、自分たちのビジョンは打倒H&M、打倒ZARAではない。そうではなく、そもそも全く違う業態を創り出していくということが、柳井氏の変革へのビジョンです。もちろん、それは簡単なことではありません。だからこそ、彼のキーワードは「Change or Die」です。大変革か、さもなければ死だというわけです。

 要するに、柳井...
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