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与党の勝利が株高・ドル高円安の要因になる理由

2017総選挙と円相場とアベノミクス(1)与党勝利による影響

高島修
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
情報・テキスト
シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏が、2017年10月の総選挙を終えた現在、これまでのアベノミクスの総括と日銀の金融緩和の影響について、円相場との関係を軸に解説する。今回の総選挙では自公が過半数を超える議席を獲得した。この与党勝利が株高、ドル高円安の要因となっているのだが、その理由を高島氏は3点挙げる。(全3話中第1話)
時間:10:57
収録日:2017/10/25
追加日:2017/11/10
ジャンル:
≪全文≫

●総選挙の報道で円相場への関心が高まる


 シティグループ証券の高島です。2017年10月22日に総選挙が行われて、それに絡んだ動きが市場でも活発化したので、アベノミクスの総括を含めてお話をしていきたいと思います。

 1点目はこの総選挙をまたいだ市場の動きについてお話をします。2点目はアベノミクスと円相場の関係を総括したいと思います。3点目はそのアベノミクスで重要な役割を握っている日銀の金融緩和がどういう形で円相場に影響を及ぼしてきたか、といったことをお話ししていきます。

 まず1点目の選挙に絡んだ動きについてですが、9月17日の報道で「総選挙が行われる」という話が出てきました。実は今年2017年、海外投資家は円相場にあまり関心がなく、特に春先以降はドル円相場もレンジにあるので円相場への関心が薄かったのですが、総選挙があるという報道が出た頃から、私のところにも海外から問い合わせが数多く寄せられるようになってきました。この半年間ほどでは初めてのことでした。そういった中、「全体的な流れとしては円安を見込みたいが、10月22日の総選挙に絡んではやはり自民党が議席を減らすことに伴う円高のリスクを警戒したい」という声が多かったと思います。


●選挙予想に伴うリスクリバーサルの動きを見る


 今、見ていただいている表はドル円の通貨オプションのリスクリバーサルというものの動きを示しています。これはかなり専門的な話になるのですが、通貨オプションマーケットでドル円を買う権利とドル円を売る権利を相対的に比べたものなのです。このグラフが上に行けば行くほど、ドル円を買う権利の方がドル円を売る権利よりも値上がりしているということになります。ドルを買いたいという権利が値上がりするわけですから、基本的にはドル円のドル高円安リスクを見ているということになってきます。一方で、下方向に行くときというのは、ドル円を売りたいという権利の方がドル円を買いたいという権利よりも相対的に値上がりしているということを示しています。ですから、このことはドル円を売りたいと思っている人が市場の中に増えているということを示しているのです。
 
 こういった中で今、示しているのは、リスクリバーサルの1カ月もの、2週間もの、1週間もの、この3つの動きです。9月17日の後すぐに、10月22日の選挙の日を捉えて1カ月もののリスクリバーサルが下に下がっていきました。要は1カ月ものの通貨オプションを使って総選挙の円高リスクをヘッジする動きがあったことを示しているのです。その後、10月22日をその範疇に捉えたところで2週間もののリスクリバーサルも下がりました。そして、1週間ものも22日の総選挙を捉えたところで下がるという動きが出てきたのです。

 実は10月の上旬にシンガポールや香港を出張で回っていたのですが、その時にはもうこの10月22日をまたいだ通貨オプションの値段が相当上がりすぎていて、「もうこれでは取引しにくいな」といった声も出ている状態でした。ところが、選挙が近づくにつれて、「どうも自民党が有利だ。自公で300議席を超える」というような報道が増えてきました。そして、選挙の一週間前だったのですが、このリスクリバーサルが1カ月もの、2週間もの、1週間もの、いずれも上方向に上がったのです。この動きは、9月17日の総選挙に関する報道の後に増えていた、円高リスクをヘッジする動きが、選挙が近づく中で巻き戻されたことが示されているということです。

 このような状況の中、実際の選挙結果、自公が過半数を超え、3分の2議席を獲得するという予想外の勝利を収める格好となりました。相場の中では基本的には自公が勝つ方が株価、ドル円にも有利だという見方が多かったものですから、この結果を受けてドル円相場も選挙翌日、円安ドル高方向に離れる格好でスタートしています。10月末現在、113円台で推移しており、春先以降のドルの高値である114円台を抜けようかどうかという攻防をやっている状況です。

 

●自公勝利が株高、ドル高円安要因になるわけ

 
 では、自公が勝利することがなぜ、株高、ドル高円安要因と目されるのかということですが、それにはいくつかの理由があります。一つ目は何といっても不確実性、あるいは不透明性の後退だと思います。これは結局、結果的に自民・公明の与党が勝っていても、あるいはある程度議席を減らしていても不確実性は後退するので、全体的な基調が強いということであれば今回起こっているような株高、ドル高円安の流れは起こっていたと思います。

 2つ目の理由は、アベノミクスに対する評価です。野党も基本的に財政政策を強めに主張していたと思いますが、やはりアベノミクス≒黒田金融緩和という認識が強いものですから、日銀の政策については比較的コンサバティブな主張をする野党が多かったかと...
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