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フィンテックとは何か?その背景と企業の最新動向

フィンテックがもたらす金融革新(1)フィンテックの概念

藤井達人
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタル企画部 プリンシパルアナリスト
情報・テキスト
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ・デジタル企画部プリンシパルアナリストの藤井達人氏が、フィンテックとは何か、そのサービスの進展について解説する。フィンテックはもはやスタートアップ企業だけのものではない。従来の金融機関もフィンテックへの積極的な取り組みを始めている。(全3話中第1話)
時間:14:32
収録日:2017/10/10
追加日:2017/11/20
≪全文≫

●フィンテックは「ファイナンス」と「テクノロジー」の造語


 本レクチャーは、三菱UFJフィナンシャル・グループ・デジタル企画部に所属しております、藤井達人が担当します。今回はフィンテックとは何かについて解説します。

 フィンテックとは、金融を意味する「ファイナンス」と、技術を意味する「テクノロジー」を組み合わせた造語です。テクノロジーを駆使した、革新的あるいは破壊的なサービスを指したり、それを提供するスタートアップ企業のことを指します。また、ビッグデータやAI、ブロックチェーン、量子コンピューティングといったテクノロジーが金融に深く用いられると、そのテクノロジー自体がフィンテックと呼ばれることもあります。


●金融機関と組んでサービスを提供する事例も増えている


 フィンテックのカテゴリーを、詳細に見ていきましょう。フィンテックの中には、多数のサブカテゴリーが存在します。例えば、預金のサブカテゴリーには、PFM(personal financial management、個人資産管理)やデジタルバンクがあります。あるいは、資金調達のサブカテゴリーとしては、最近身近になってきたクラウドファンディングや、仮想通貨による資金調達を指すICO(initial coin offering)があります。また、資産運用の領域は、ロボアドバイザー、ソーシャルトレーディング、マイクロインベスティングというサブカテゴリーに分けられます。

 こうしたカテゴリーに関するスタートアップ企業は、日本でも増えてきました。金融機関と組んでサービスを提供するという事例も現在、増えてきています。仮想通貨に関しては、取引上の運営に加えて、仮想通貨をマイニングするという企業も出てきました。マイニングとは、コンピュータの演算能力を利用し、仮想通貨を手に入れる行為を指します。これについては、別の回で説明する予定です。

 スライドの一番下には、RegTechというサブカテゴリーがあります。これはテクノロジーを駆使して、金融規制の対応を強化しようとするものです。リーマンショック後の金融規制強化により、金融機関はコンプライアンス対応のコストの増大に直面しています。こうした状況で、より効率的にコンプライアンスに対応したプロセスを実行し、コンプライアンス対応のコストを下げる狙いがあるのです。


●既存の金融サービスの不満を解消するところから始まった


 フィンテックは、既存の金融サービスの不満を解消するところから始まりました。例えば、手数料が高い、処理に時間がかかる、口座そのものがつくれない、金利が非常に高いといった不満です。また海外では、金融サービスを受けることができない、アンバンクト(unbanked)と呼ばれる人の割合も多く、そうした国ではフィンテックの導入が急ピッチで進められています。こうした現象は、フィナンシャル・インクルージョンと呼ばれます。

 フィンテック企業の代表的な事例をいくつか見てみましょう。アメリカのスクエア(Square)という企業は、スマートフォンを使った中小商店向けの決済サービスを提供しています。クレジットカードの決済機能を店舗に導入するためには、従来は銀行やカード会社と加盟店契約を結ぶ必要がありました。加盟審査は非常に時間がかかり、また、契約できるかどうかは不確実です。契約できたとしても、決済のコストとして比較的高い料率を支払わなければなりませんでした。

 そこで、スクエア社は加盟審査を途上審査と呼ばれる方式に替え、また加盟店側でスマートフォンを準備することで、インターネット経由で安価にカード決済ができるインフラを提供したのです。これによって、中小企業は早く安くカード決済を導入することが可能になりました。結果として、クレジットやデビットカードの市場を拡大させたといえるでしょう。

 その他、スクエアレジスターというPOS(販売時点情報管理)や、データ分析機能、API(application programming interface)連携による多様な機能を提供したり、あるいはスクエアキャピタルという商店向けのローンや、スクエアキャッシュというP2Pの送金サービスも行っています。この会社はすでにIPO(initial public offering、株式公開)を果たしており、数百万のマーチャント、数千万のユーザーを抱えているといわれます。

 もう1社、融資の領域における代表的なフィンテック企業として、キャベッジ(Kabbage)という会社を紹介します。中小企業をターゲットとした融資の企業です。金融機関から融資を受けられない、あるいは金融機関だと審査に時間がかかって、融資を受けたいタイミングと合わないといった企業に対して、貸付を行っています。

 従来の金融機関が、主にバランスシートや事業計画をもとに融資審査を行ってきたのに対して、キャベッジはオンライン上のデータを基準に審査を行いま...
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