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知識・スキルを蓄積する良品計画の「MUJIGRAM」

サービソロジーと経営~サービスイノベーション(8)経験価値共創と知識スキル蓄積

村上輝康
産業戦略研究所 代表 
概要・テキスト
産業戦略研究所代表の村上輝康氏が、サービソロジーによるサービスイノベーションの事例を紹介していく。今回は「経験価値共創と知識・スキルの蓄積」をテーマに、東京大学の浅間プロジェクトと良品計画を取り上げる。(全9話中第8話)
≪全文≫

●経験価値のスキル(技能)面を「見える化」する浅間プロジェクト


 サービソロジーによるサービスイノベーション事例をシリーズでお話ししています。今回は、「経験価値共創と知識・スキルの蓄積」についてお話ししたいと思います。

 まず「経験価値共創」についてですが、サービスの提供においては、知識だけでなくスキルも重要です。サービスのほとんどは知識をベースにした言葉や情報でなされますが、それと同時に、サービスに携わる人のちょっとした仕草や立ち居振る舞いが、あるいは理容・美容などではスキル(技能)そのものが、サービスになるからです。前回紹介した村井プロジェクトでは、「気づき」という知識の側面を取り上げましたが、もうひとつスキル(技能)という側面も同様に重要です。

 それに対して、S3 FIRE(スフィア)の東京大学・浅間一教授のプロジェクト(浅間プロジェクト)は、「経験価値の見える化を用いた共創的技能eラーニングサービスの研究と実証」という名称で、サービスの知識サイドではなくスキルサイドを扱っている、貴重なプロジェクトです。

 サービソロジーは、知識だけでなくスキル(技能)の可視化も対象としているわけですが、浅間プロジェクトでは介護分野や製造業の技術伝承、スポーツ指導などにおける技能教育において、指導者と学習者双方のスキル(技能)の「見える化」を行っており、その差分を効率的に小さくしていくプラットフォーム(「経験価値プラットフォーム」)を構築しています。


●「模範に近づける」技能教示のプロセスモデル


 浅間プロジェクトでは、技能教育を考えるに際して、技能教示のプロセスモデルを開発しています。

 技能教示(技能を教える)とはどういうことでしょうか。まずは、指導者がやってみせる(「提示」)。それに理屈をつけて理解させる(「理屈」)。それから学習者にやらせてみる(「実践」)。そして、指導者と学習者の間の比較をすることによって、違いを知らせる(「比較」)。

 それだけではダメで、さらに深く違いを認識させる(「認識」)プロセスが重要。この認識が深まることによって、自発的に自分を正しいやり方に近づける(「矯正」)。こういう動きが起こり、それを繰り返す(「反芻」)。

 それで、身に付いたかどうかを確認する(「評価」)。駄目であれば、また先ほどのサイクルを回して...
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