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2018年政治世界の展望と注目すべきキーワード

2018年の世界と予測の構造

曽根泰教
慶應義塾大学 名誉教授
情報・テキスト
政治学者で慶應義塾大学大学院教授の曽根泰教氏が、2018年の政治世界の展望について解説する。曽根氏はまず予測の構造から政治や経済の世界の予測につきまとう困難を説明。それを踏まえた上で、さまざまな分野に起こるであろう変化を予測するためのキーワードをリストアップした。果たして2018年はどのような世界になるのだろうか。
時間:12:35
収録日:2017/12/07
追加日:2017/12/23
≪全文≫

●天気予報、地震予測にみる予測の構造


 2018年の政治の展望ということでお話をしますが、この話をする前に「予測」ということについてお話をしておいた方がいいと思います。

 予測、予報、予想とはどういう構造なのか。特に最近は天気予報がかなり当たります。それに比べたら、「地震はなぜ予測できないのか?」という疑問が多くの方にあると思います。例えば、70パーセント以上の確率で地震が起こると言われていても、「いつ起こるか」ということははっきりとは言われていません。そういう意味でいえば、大規模地震は起こるのだけれども、いつ、どこで、どんな形で起こるのかということは分からないのです。それに比べれば、天気予報に関しては「明日の午後、局地的に東京のこの辺りに雨が降りますよ」というようにかなり正確に予報できるようになっています。


●政治世界の予測は地震型-特に戦争の予測は難しい

 
 これを政治の世界、あるいは経済の世界に当てはめると、こういうことになります。戦争はどういう仕組みで起きるのか、革命はどういう仕組みで起きるのか、あるいは選挙ではどの党が勝ちそうか。こういったことの予想はできるのですが、特に戦争については、いつ、どこで、どんな規模で起きるのかは、なかなか予想できません。そういう意味でいうと、地震と非常に似ているところがあります。

 明日の株価、明日の為替レート、これもなかなか予想はできません。けれども、経済学者による「為替レートはこういう条件で決まる」という説明は相当程度できるわけです。しかし、具体的な株価まではなかなか予想できません。これは先述した天気と地震、あるいは戦争の予測との違いと非常に似ているところがあります。
 
 特に大きな問題である北朝鮮問題ですが、2018年はどうなるのか、紛争もしくは戦争が起こるという状況になるのか。こうした疑問を抱いたり、あるいは予想したりしている人もいると思いますが、その場合、われわれは合理的な人間を前提として核抑止体制などを構想し、「合理的な人間だったら、こういう行動を取るだろう」と考えるわけです。ところが、金正恩氏にしてもドナルド・トランプ氏にしても、合理的な人間という前提からすると、そこはやや怪しい。彼らは今までの政治家と比べて、少し違うのではないか、つまり不確実性の高い政治家ということです。よって、今後については予想がしにくく、偶発事態が起こりそうだ、ということです。


●予測のバイアスとして一番大きいのは悲観論と楽観論


 日本の少子高齢化については、人口問題研究所が過去ずっと人口予測をしていたわけです。人口予測は当たるものの代表ですから、われわれが社会の将来予測をするときに基本として使う予測なのですが、ところが下位推計よりも下にぶれた時代がかなり続きました。人口予測でさえ下回るような日本の少子化が起きてしまったのです。このように、一番予想しやすいものでさえ、外れることがあるということです。

 それから、予測、予報のバイアスというものがあります。一番大きいのは悲観論と楽観論ですが、特に技術の進歩に関しては楽観論が多く、社会の変化に関しては悲観論が多く出てくるように思います。また、予想、予測は過去の延長で予測するのか、それとも現状の秩序をもとにその秩序を維持することを前提に予測するのか。あるいは、変動要因を過大に見積もるのか、少なく見積もるのか。これらも手法としてとても多様なものがあると思います。


●2018年、2019年の政治予測と日程問題


 さて、政治日程の話でいえば、日程が定まっている場合の予測は、「何がいつ起きる」の「いつ」がはっきりしているということですが、問題は「いつ」ではなく、例えば選挙があったらどの党が勝つのか、という予測になります。2018年の政治日程でいえば、ロシア大統領選挙が3月、自民党総裁選が9月、アメリカ中間選挙が11月にあります。例えばロシア大統領選挙ですが、ウラジーミル・プーチン氏が勝つのかどうかということはアメリカの選挙よりも予想しやすいのです(私はプーチン氏が勝つと見ているのですが)。

 なお日程的に見れば、実は2019年の方がさまざまな事象が起きます。統一地方選挙に参議院選挙があります。消費税の引き上げ問題があります。この年、日本はG20の議長国です。また、天皇の退位、そして即位が4月30日、5月1日にあるということで、これも一つの節目になります。このように日程が決まっている場合の予測という点では、2019年に比べると、2018年はそれほど大きい問題は起きないと思われます。


●予測のためのキーワード


 では、予測をするとき、どんなところに注目をしたらいいのでしょうか。キーワードをいくつか挙げて、考えてみます。

 世界の変化でいえば、「グローバル化」はこのまま進む...
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