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価値観の違いはダイアログ・コミュニケーションで埋める

これからの社会と働くということ(5)生きる基本<上>

古賀伸明
日本労働組合総連合会(連合)第6代会長
情報・テキスト
日本労働組合総連合会(連合)第6代会長の古賀伸明氏が「これからの社会と働くということ」について論じるレクチャーシリーズ。今回から2話にわたり、働き・暮らし・生きる基本についてお届けする。キーワードは「深い意味での楽しく、エンジョイ」「何の目的で」「何のために」、そして「覚悟と情熱」「信頼と共感」だ。対話・話し込み・コミュニケーションについて、古賀氏ならではの持論が開陳される。(全6話中第5話)
時間:07:05
収録日:2017/12/27
追加日:2018/03/14
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≪全文≫

●“深い意味での楽しく、エンジョイ”がキーワード


 本シリーズ最後の三つ目のパートは、私の拙い経験から「働き・暮らし・生きる基本」について、いくつかお話をしたいと思います。

 何といっても一つ目のキーワードは「深い意味での楽しく、エンジョイ」ということではないかと私は思います。私たちはもっと楽しんだりエンジョイしていいのです。「楽しい」や「エンジョイ」は、当然ながら苦しさを乗り越えて到達する状態です。しかし、今の社会は何かふさぎこんだ、うつむき加減の社会になっています。もっと自由闊達さや感動、興奮、驚き、喜怒哀楽を、いろいろな場面で出してもいいのではないか。そういうことも含めて、私はその基本が“深い意味での楽しく、エンジョイ”にあると思います。


●「何のために」「何の目的で」を常に振り返る


 二つ目は、「何のために」「何の目的で」ということを、私たちは常に一定期間の中で振り返ってみる必要があるということです。

 これは物事の基本であろうと思いますが、一生懸命にやればやるほど目的と手段が逆転しているような場面に遭遇したことが、皆さんおありだろうと思うのです。

 「このことは、何のためにやっているのか」「何の目的でやっているのか」を常に振り返る。そして、発想のウィングを広げて、あらゆる角度からその目的に達成するための手法を考えてみる。そういうことが必要ではないか、と思うのです。


●「覚悟と情熱」で「信頼と共感」を築いていく


 三つ目は、大げさにいえば私が今まで生きてきた状況を4つの熟語で表せといわれたときの答えです。それは「覚悟と情熱」「信頼と共感」、この4つで表せるのではないかと思います。

 私は、40歳過ぎの時に9万数千名の組織のリーダーになりました。非常に緊張感があり、本当の意味で自分にそのリーダーができるのかということに葛藤した時期でした。当時よく使っていた言葉は「覚悟」「決断」「挑戦」などです。

 しかし、自分が覚悟し、決断して、挑戦しても、人や物はなかなか動きません。もっといえば、正しいことや理屈だけで人が付いてきてくれると思うのは間違いだと私は断言できます。そこにはやはり信頼と共感が必要です。信頼と共感があって初めて人は動き、物事は大きく動いていくのです。

 価値観がまったく異なっている人からでも、信頼と共感を得ることは重要だし、できるのです。よく聞く例として「価値観が全然違うから、あなたの言っていることに本当は反対だ。しかし、あなたがやるのなら、私もやる」という言葉があります。これが信頼と共感です。一朝一夕ではできないことですから、来る日も来る日も対話やディスカッションが必要です。


●コミュニケーションは、つらく厳しい作業


 IT機器が発達した現在では、それだけで報告も会話も済ませてしまって、「あの人とのコミュニケーションは取れている」と思いがちです。しかし、私の思うコミュニケーションは違います。それは、価値観の違う者同士が、理性を超えて激論を交わしながら、価値観の違いを少しずつでも埋めていく、つらい厳しい作業だと思っているのです。

 人はそこまでつらい厳しい作業はしたくないから、通り一遍の報告と会話さえしていればコミュニケーションが取れているというところに、すぐに逃げ込んでしまいます。

 しかし、それでは信頼や共感の域には達しません。つらくて苦しいからこそ、対話したりディスカッションしたりして、価値観や納得性のギャップを少しずつ埋めていくことが必要なのだと思います。また、もし埋まらないのなら、違いを認め合う。そこまで達するためには、かなりのダイアログ(対話)・コミュニケーションを繰り返さなければならないと思います。


●「気楽に真面目な話をする場」を持っているか?


 海外の人の意見に、なるほどと思ったことがあります。まず、「日本は真面目な話をする場がたくさんある」という意見です。これはおそらく会議のことでしょう。会議で本当に真面目な話をしているかどうかは分かりませんが、日本に会議が多いのは事実です。

 そして、「気楽な話をする場もたくさんある」という意見です。仕事が終わると会社のそばにある居酒屋にみんなが集まって気楽な話をしているのを、海外の人は知っているのでしょう。ほとんどが上司や会社の悪口ですが、それで発散して、また明日頑張ろうという気持ちになるので、決して悪いことではないと思います。

 しかし、「残念ながら日本には、気楽に真面目な話をする場がほとんどないじゃないか」といわれるのです。日本のある識者は、「気楽に真面目な話をする場をその組織がいくつ持っているかによって、その組織の活性化度合いが分かる」とまで言います。気楽に真面目な話をする場こそ、コミュニケーション・ギャッ...
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