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日本で火山活動が起こるメカニズムとは?

火山の仕組みを知る(1)火山の世界的分布と噴火の仕組み

藤井敏嗣
東京大学名誉教授/環境防災総合政策研究機構・副理事長/山梨県富士山科学研究所長
情報・テキスト
火山の仕組みについて東京大学名誉教授の藤井敏嗣氏が詳説するレクチャーシリーズ。第1話では火山の世界的分布と噴火の仕組みを詳しく解説する。火山噴火には、地下のマグマが上昇し地上に現れるマグマ噴火と、マグマに由来する熱水による水蒸気噴火の二つが存在するという。(全4話中第1話)
時間:14:32
収録日:2018/04/16
追加日:2018/06/01
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≪全文≫

●世界の火山分布とプレートテクトニクスによる火山活動


 東京大学名誉教授の藤井敏嗣です。このシリーズでは、火山噴火についてお話をします。1回目は、火山の世界的な分布と、火山噴火のメカニズムについてです。2回目は、現在日本で活動中の火山の話をします。3回目は、富士山の噴火があるのかどうかというお話をします。4回目では、火山噴火予知と噴火警報の話をします。

 今回は、火山の世界的な分布と、火山が噴火するメカニズムについてお話しします。最初に、火山がどういう所に分布しているかという図を見ていただきます。



 この図の黄色い三角形は、火山がある場所を示しています。また、黒や赤の丸が書いてある場所は、地震の発生地を表しています。これを見ると、大陸の周辺部において、地震の分布と火山の分布とが一致していることがよく分かると思います。それに対して海の方には、地震を表す赤や黒の丸だけがあって、火山を表す三角形が見えません。しかしこの部分は、水深4000メートルの深さですから、われわれ人間が火山として目撃することができない場所です。そのためプロットされてはいませんが、この場所でも活発なマグマの活動が行われています。ですから、もし陸上であれば非常に立派な火山として見られるものが、世界の海の中にはあります。



 この火山の分布を、現在われわれが理解している、プレートテクトニクスとの関係でお話しします。するとまず、先ほど申し上げたように、図の上では黄色い三角形がついていない、海底にある火山があります。これを「中央海嶺」と呼ぶのですが、ここでプレートが生産されています。プレートは、生産された後に両脇に広がっていき、しばらくすると、大陸や日本列島などの下に沈み込んでいきます。このようにプレートが沈み込んでいく場所では、火山活動が起こります。それとは別に、プレートの途中の「ホットスポット」と呼ばれる場所でも、火山活動が起こることがあります。これは、ハワイで起こっているような火山活動です。大きく分けるとこの3つのタイプの火山が世界には分布していることになります。


●日本列島の地下構造




 では、プレートが沈み込んでいる日本列島の下を見るとどうなるか。これは、 X 線の代わりに地震の波を使ったトモグラフィという手法で見ます。CTスキャンと同じようなものです。このトモグラフィで日本の地下を見ると、右から左下に向かってブルーの部分があります。これが、沈み込んでいる太平洋プレートです。

 その上に、緑色をした部分があります。また、さらに浅いところには、赤い部分が右肩上がりに伸びていることが分かります。赤い部分の左側はさらにまた緑色になっています。これが何を表しているかというと、ブルーの部分は地震の波が伝わりやすいところ、つまり硬くて冷たいところを意味します。逆に、色が赤くなっているところは、地震の波が伝わりにくい、暖かくて柔らかいところです。

 ですから、日本列島の地下は浅いところから次第に潜っていくと、最初は冷たいのですが、だんだんと温度が上がっていきます。その後、今度は温度が下がり始めて、非常に冷たい太平洋プレートにぶつかることになります。


●火山噴火のメカニズム:日本列島を例にした説明




 日本列島はこういう構造をしているのですが、日本で火山活動が起こるメカニズムを書いたものがこの図になります。先ほどの濃いブルーの太平洋プレートが、右から左下に向かって沈み込んでいく。すると、この沈み込んでいくプレートの中に含まれていた水が分離して、浅いところに向かって移動していきます。この水の流れが、図の中では水色の線で書いてあります。

 このように水が上昇していくと、図の左から右肩上がりに存在する温度の高い部分にぶつかります。すると、水が加わることによって、普通ならば溶けないような温度でも、岩石が溶けていきます。つまり、水が岩石の融点を下げる働きをします。そのために、ここでマグマが発生します。そして、ここで発生したマグマは周囲の岩石よりも軽いので、浅いところに向かって移動していきます。こうやって移動したマグマが地表に現れると、火山噴火が起こります。これが、火山噴火の基本的なメカニズムになります。

 日本列島の島弧におけるマグマの発生には、このように水が大きく関わっています。そのため、日本列島のマグマは、数パーセントではあるものの、最初から水を少し含んでいます。このように水を含んだマグマが地表近くに来ると、水が膨れようとして爆発を起こします。ですから日本のマグマは、爆発的な噴火を起こ...
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