10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
10MTVオピニオンは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
すでにご登録済みの方は
このエントリーをはてなブックマークに追加

日本の総人口は2080年まで減少が続く

人口減少と日本の未来(1)日本人口の歴史的推移と予測

森田朗
津田塾大学総合政策学部教授
情報・テキスト
「日本の歴史上、初めて急速に人口が減少する」――津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏によれば、日本はかつてないほどに人口が減少していくと予想される。いったいどういうことなのか。それに対してどのような対策が立てられるのか。森田氏がグラフを駆使して解説する。(全7話中第1話)
時間:09:25
収録日:2018/03/29
追加日:2018/07/24
タグ:
≪全文≫

●歴史上、初めて急速に人口が減少する日本


 津田塾大学総合政策学部の森田朗です。今日は少子高齢化人口減少の社会とこれからのわが国のあり方についてお話しします。

 これからわが国の人口は、どのように長期的に変化していくのでしょうか。これから申し上げますのは、日本の歴史上、初めて急速に人口が減少するということです。そのために私たちの考え方も従来の右肩上がりの発想を捨て、人口減少に応じた、あえて言うならば、ダウンサイジングの考え方を取り入れることが重要ではないかと思います。



 このグラフは紀元600年から2100年ぐらいまでの非常に長期にわたるわが国の人口の推移を表したものです。もちろん古い時代については推計になりますが、このグラフを見ますと、わが国の人口はちょうど1600年、関ヶ原の戦いの頃までは徐々に増えていきます。しかし、あまり変わらない状態で、1600年にはだいたい1227万人ですから現在の10分の1の人口にすぎなかったわけです。

 それが江戸時代に入り、前期には社会が非常に安定していたためか人口が3倍近く増えていきます。その後はしばらく停滞した状態が続きますが、19世紀の後半、特に明治維新が起こってからはこのグラフに見られるように急速に人口が増加します。そして、1960年代には1億人を超え、国勢調査では2010年に1億2806万人となり、わが国の人口はピークに達します。

 しかし、その後は、グラフの紫の線が示しますように、右肩下がりといいますか、フリーフォールのような形で急速に人口が減少していくと推計されています。

 人口推計の場合には、非常に楽観的に見る高位推計とその逆の低位推計、真ん中の中位推計という、3つの推計値が使われることが多く、人口は通常、中位推計が使われますが、グラフから明らかなように、どの推計値を取ってもわが国の人口は急速に減っていきます。

 このグラフからさまざまなことが読み取れますが、2つだけ申し上げます。1つは、2010年まで短期的には増減がありましたが、わが国の人口はずっと右肩上がり、増え続ける傾向にあったことです。それが2010年をピークにして長期的に減り始めます。これはわが国の歴史上、初めての経験ということになります。

 それに伴いまして、私たちの発想も切り替えていかなければならないと思います。これまでは右肩上がりであることから、人口が増えること、また経済が成長すること、いずれにしましても社会がどんどん拡大していることが望ましい社会の在り方と考えてきたと思いますが、今後はそれが非常に難しくなるということです。人口が減る以上、これまでのようなさまざまな社会的なインフラストラクチャーというものが過剰になってくる可能性があります。それに対して適応していくためには、ここでは「ダウンサイジング」という言い方をしたいと思いますが、そうした形での発想の切り替えが必要になってくると思います。


●生産年齢人口の減少と老年人口の増加




 次のグラフは、先ほどのグラフの一部を切り出したもので、1880年、つまり19世紀の後半から2100年ぐらいまでを表しています。先ほどのグラフで示した急なカーブがこのグラフでは少しなだらかになっておりますが、ここからも急に人口が増えていき、急速に減っていくことが読み取れます。

 グラフが表しているのは、人口構成です。一番下のグリーンの部分が年少人口、15歳未満人口です。黄色の部分が15歳から65歳までの生産年齢人口です。そして紫の部分が65歳以上の老年人口です。こうした3つの構成がどれくらいの割合になっているかを表しています。

 グラフから見て取れることですが、1955年に相当する部分をご覧になっていただきたいと思いますが、わが国の歴史上、年少人口が一番多かったのは1955年で、団塊の世代の人たちが生まれた少し後の時代です。その後もう1つ、団塊の世代の子どもたちである団塊ジュニアの時代が30年後に訪れて、第2の山が少しできます。しかし、第1の山ほどは高くはありません。そして、1990年代ぐらいから2000年にかけて、第3の山は現れませんでした。したがって、それ以降、ずっと人口が減少し続けることになります。

 当然、時間とともに年少人口の人が生産年齢人口に移っていきます。そして、ちょうど1955年から40年後の1995年にピークを迎えて、それからは生産年齢人口が減っていきます。

 最近、わが国では労働力が不足してくると言われていますが、1990年代以降、経済の低迷もあり、それほど労働力の不足は認識されませんでした。しかし、少し景気が回復してきますと、生産年齢人口がどんどん減ってくることで、労働力の不足が深刻な問題になってきたということです。

 他方、老年人口は、昔は...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。