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少子化対策がうまくいってもすぐ人口は増えない

人口減少と日本の未来(2)人口ピラミッドの変化

森田朗
一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事/東京大学名誉教授
概要・テキスト
少子化が始まったとしてもすぐに人口が減少するわけではない。また、出生率が上がっても、すぐに人口が増えるわけでもない。一体、人口はどのように増減するのだろうか。津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏が、人口ピラミッドを用いて人口増減のメカニズムを解説する。(全7話中第2話)
時間:07:27
収録日:2018/03/29
追加日:2018/07/31
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≪全文≫

●幼児が多く老人が少ない人口ピラミッドの構成


 前回、日本の人口が減少していると申しましたが、どうして減少し続けるのでしょうか。そして、年齢ごとの人口構成を表した上の図をよく「人口ピラミッド」と呼びますが、なぜピラミッドと呼ぶのでしょうか。その理由を明らかにすることで人口減少のメカニズムがご理解いただけると思います。

 ピラミッドという以上、上がとんがった三角形を想定しますが、それに近いのは1965年の人口の図です。それが2015年、2040年、2065年と、だんだん下がすぼんで、つぼ型の形になっていきます。しかもそれがだんだん細くなっていきます。

 なぜこのようになるかといいますと、これは上の模式図を使って説明した方がお分かりいただけると思いますが、人類の歴史は長い間、人口構成はこういう形状を取っていました。

 ある年に子どもがたくさん生まれたとしても、まだ医学が発達していない、栄養状態が悪い、あるいは病気やけが、その他戦争もあるかもしれませんが、そうしたいろいろな要因で人口が減ることになります。したがって、70歳くらいまで長生きする人は非常に少なかったのです。それまでに毎年、どんどん亡くなっていったということです。

 それが医学の発達、あるいは経済の成長により栄養状態が良くなり、あるいは衛生についての知識を皆さん持つようになってから、人口構成の形が上のような形で変わっていきました。

 生まれたときの人口がさほど減らなくなったということです。幼少期もそうですし、年少人口の時代もそうですし、働き盛りの生産年齢人口のときでも減りません。さすがに、70歳からは、グラフにあるように傾斜しており、亡くなる方はだんだんと増えていきますが、それまではあまり人口が減らないという状態が続きます。

 ここから何が言えるでしょうか。わが国の人口は前回も申し上げましたように、2010年までずっと増えてきました。一方では少子化が始まっていました。それにもかかわらず、なぜ人口は増えてきたのかといいますと、かつては亡くなっていた方が亡くならなかったからで、そのために人口が増えてきたということです。生まれる方と亡くなる方がいて、その差し引きから人口が増えたり減ったりする...
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