10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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私のまいた種の中で一番大きな種だった・・・

社会保障と税の一体改革(1)時代の変化と法案作成理由

野田佳彦
衆議院議員/第95代内閣総理大臣/民進党最高顧問
情報・テキスト
社会保障と税の一体改革関連法案に関する記者会見(2012年6月26日)
出典:首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/jp/noda/actions/201206/26kaiken.html)より
野田佳彦前総理が推し進めた「社会保障と税の一体改革」は、アベノミクスのベースとなり、4月の消費税アップへとつながっていった。なぜ野田政権は当時、消費税増税というリスクある政策を掲げたのか。「社会保障と税の一体改革」の意義と経緯について野田氏が語る講演部分の前編。(2014年6月7日開催「第10回ラウンドテーブル・ジャパン」昼食セッション基調講演より、全3話中第1話目)
時間:15:13
収録日:2014/06/07
追加日:2014/07/03
≪全文≫

●はじめに~私のまいた一番大きな種は「社会保障と税の一体改革」~


―― 「社会保障と税の一体改革」についてですが、なぜやろうと思ったのか、どうして奇跡的に成し遂げることができたのか、についてお聞きしたいと思います。多分普通の人は、社会保障を抑制して増税するという、割の悪いリスクは取らないものです。しかし、政治家というのはそうではなく、そのように思われていながらも政策を進め、奇跡的にこの法案が成し遂げられました。そのベースがあってアベノミクスという形になると思うのですが、そのあたりについてお話を聞かせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。

野田 どうも、皆さま、こんにちは。ご紹介いただきました、野田佳彦でございます。今日は原稿を用意してきました。通訳の方もいらっしゃるので、事前に原稿をお渡ししたほうがしっかりと訳されるだろうというお話があったので、そうしたのですが、やめます。ごめんなさい。先ほどの神蔵さんのお話の趣旨を聞きまして、それに沿ってお話しなければいけないのかなと思ったからです。そういう点で原稿はないので、通訳の方、ちょっと申し訳ございませんが、丁寧にしゃべりますので、フォローしていただければと思います。

 皆さん、まだお食事中ですから、ゆっくり召し上がってください。また食べ終わった方は、ランチの後はたいてい眠くなるものです。気軽に安らかにお眠りください。

 25分ほどの持ち時間ということでございますが、アベノミクスがどうなるか、そのリスクはどこにあるのかについてお話していく中で、もしかすると現政権を批判することを期待している方がいらっしゃるかもしれません。しかし、あらかじめ申し上げておきますが、そのために私はここに来たつもりではございません。

 よく政治や外交をガーデニングで例えられることがあります。種をまいて、そして花が咲くためには、毎日水をやったり、日を当てたり、あるいは雑草を摘み取ったりという手入れが必要です。私は、私のまいた種の中で一番大きな種であった「社会保障と税の一体改革」と、その意義について、「しっかり手入れをしてくださいよ」という意味合いも込めて、今日はお話をさせていただければと思います。

●先送りされてきた最たるテーマが「社会保障と税の一体改革」だった


 私が総理大臣に就任したのは、2011年9月2日でした。その直前に、エコノミストという雑誌に、〝日本化する欧米〟という特集記事が出ていたのです。ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。表紙にイラストがありまして、アメリカのオバマ大統領とドイツのメルケル首相が、2人並んでいるのです。2人とも和服姿で、メルケル首相に至っては、かんざしまで差しています。そして、バックには富士山のイラストが描かれていました。

 「これはなんだろう?」と思って中身を見てみると、なかなか方向性が見出せないでいる欧州の債務危機、その中心国としてドイツの責任が問われているのです。そして、一方でアメリカは、債務の上限危機、これは今も引きずっておりますが、その問題に対してなかなか方向性が見出せない中、 オバマ大統領に対するリーダーシップの問題などが出ていました。それを全て「先送りする政治」として評しているのです。その「先送りする政治」のことを「日本化」と例えて書いてあるのです。「失われた20年」などといろいろと言われてきましたけれども、懸案、課題は分かっているのに結論を先延ばししてきた、そのことを「日本化」という...
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