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生活習慣病の予防は、認知症予防にも直結する

認知症とは何か(6)認知症の予防とその秘訣(上)

遠藤英俊
元国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 長寿医療研修センター長
概要・テキスト
認知症の予防のためにはさまざまな秘訣がある。国立研究開発法人国立長寿医療研究センター長寿医療研修センター長の遠藤英俊氏が、調査に基づく実証的なデータから、運動や食事など有効な手段を解説する。(全7話中第6話)
時間:09:03
収録日:2018/05/26
追加日:2018/09/27
カテゴリー:
≪全文≫

●認知症はある程度、予防が可能である


 今回は認知症の予防についてお話をします。

 当然、時代とともに予防法は変わります。以前、認知症は予防できないといわれていました。例えば昔、著名な研究者によって、認知症に対する野菜ジュースの効果が調査されたのですが、その時、われわれは認知症の治療や予防には役立たないと考えていました。しかしその後、野菜を摂ると、摂らない場合より40パーセントほど認知症になりにくくなるという報告が出て、われわれの考えが間違っていたことが分かりました。そこで今回は、100パーセントではありませんが、一定程度認知症を予防できるとされている、最新の方法を紹介します。

 一番よくいわれるのは、認知症の予防には有酸素運動が良いということです。データ的には、40~50代から1日30分間、週3回ほど早歩きをすると良いでしょう。例えば、ビジネスパーソンであれば、地下鉄を利用する場合、最寄り駅から1つ手前で降りて、30分間ほど目的地まで歩いたり、地下鉄の階段を上ったりするという方法があるでしょう。3階から4階分ほど階段を上るとハアハアしますが、こうした有酸素運動を1日に1回か2回ほど行うと、体にも頭にも非常に良いということが分かってきました。

 さらに、食事や知的活動することも予防になります。学歴が高いと認知症になりにくいという報告もありますが、これは簡単ではありません。しかし、安倍晋三首相を中心に議論されている「人生100年時代構想」では、「リカレント」という、年を取ってからの大学での学び直しを促進する動きがあります。逆に考えると、これは認知症予防をするチャンスかもしれません。


●4~5年ほどで発病前の血液診断と治療薬ができると期待されている


 最近、認知症の約6割を占めるアルツハイマー病のことがよく分かってきたので、こうした予防方法の根拠が確立してきました。図の1番下にあるβアミロイドが、20~30年ほどの間にたまっていき、アルツハイマー病になっていきます。現在ではPiB PET(アミロイドPET)と呼ばれる検査で、早い段階でたまってきているかが分かります。ですから、例えば、50代の方がこの検査をすれば、自分が将来、認知症になるかどうかを予測できるのです。

 この検査は東京の脳ドックなどで、40万円ほどで受けることができます。ただ、まだ予...
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