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睡眠を改善するための生活習慣とは?

睡眠:体、脳、こころの接点(4)睡眠と生活習慣

尾崎紀夫
名古屋大学大学院医学系研究科特任教授/医学博士
概要・テキスト
 人間の睡眠覚醒周期は24時間ではなく本来25時間以上。従って自然にまかせれば毎日1~2時間、睡眠時間が後ろにずれてくるが、人間はさまざまな努力により、睡眠と覚醒のバランスを取り24時間にしている。シリーズ第4話では、睡眠と生活習慣について、不眠症対策のポイントにも分け入っていく。(全8話中第4話)
時間:12:59
収録日:2018/08/24
追加日:2019/01/21
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≪全文≫

●眠れないと、病院よりも寝酒を選ぶ日本人


 今回は、睡眠と生活習慣を取り上げ、皆さんに気を付けていただきたいことについて、お話をしたいと思っています。

 不眠が起きたときの対応を調べた各国の調査があります。日本は、不眠のときに「医療機関を受診」する人が極めて低く、特異的といえるほどです。では、日本人はどのような対応をするのか。「アルコールを飲む」がトップになっています。医療機関に行かずにお酒を飲んで紛らわすという日本人の特性が、この調査に出ています。

 これではどうなのかということになります。不眠対策として寝酒は、どのように考えられるのでしょうか。

 気分が少しリラックスする程度、日本酒でいえば1合までならば、まあまあ良いでしょう。しかし、「起きていられない」ほどの量というと、日本酒でいえば4合以上になります。このぐらいになると寝付きはしますが、アルコールは割に早く分解されて熱を発し、体温が上がります。体温が上がるのは「起きろ」というサインですから、睡眠の途中で体温が上がると起きてしまいます。起きない場合でも、眠りが浅くなります。

 また、後ほどお話ししますが、「睡眠時無呼吸症候群」が悪化します。睡眠薬代わりのお酒の効果によって体の筋肉がリラックスするといえばいいのですが、首の辺りの筋肉の緊張が落ちて、気道をふさいでしまうからです。

 何よりも、最初のうちは4合で眠れた方が、慣れるとだんだん効きが悪くなって量が増えるようになり、結果的に寝酒が不眠を悪化させてしまいます。また、このような「頻回飲酒」をされているサラリーマンの方は、うつ病のリスクファクターであることが私どものかつての研究に出ています。その時点で気を付けた方がいいだろうと思います。


●眠るための三つの仕組み、どれが破綻してもNG


 睡眠の調節機構が三つあることは最初に申し上げましたが、それについて簡単に説明したいと思います。

 1番目ですが、われわれのリズムの機構は、「眠る時間になったら眠る」というようにできています。人間は昼行性動物ですから、「夜になったら眠る」というようにできているはずです。ただし、もともとの睡眠と覚醒のリズムは24時間ではありません。本来...
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