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地球環境問題の解決と人の自己実現を目指すプラチナ社会

プラチナ社会へのビジネス創造(1)人口の飽和と課題

小宮山宏
東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツTV座長
概要・テキスト
20世紀には世界の人口が約5倍に増え、平均寿命も延び経済的に豊かになった。しかし同時に地球環境問題が顕在化した。そこで小宮山氏が提案するのが、プラチナ社会というコンセプトである。その内容はどのようなものなのか。目指すべきプラチナ社会について解説する。(2018年12月12日JBC日本ビジネス協会朝食会講演「プラチナ社会へのビジネス創造」より、全8話中第1話)
時間:08:32
収録日:2018/12/12
追加日:2019/04/11
キーワード:
≪全文≫

●プラチナ社会へのキーワードとビジョン


 今日は、プラチナ社会というコンセプトについてお話します。

 内容は大きく3つあります。1つ目は、人類史の転換期に生きているということです。キーワードは「飽和」と「スピード」、すなわち変化のスピードが速いという、この2つです。

 2つ目は、プラチナ社会というビジョン、その提案です。プラチナ社会実現の希望は間違いなくあると思います。課題先進国ということで、課題を解決すれば世界の先進国としてリードできるという希望はあるのですが、日本はなかなか動きません。ここが最大の問題です。

 3つ目は、それでも動いていかなければならないので、プラチナ構想を社会実装するという話です。それが新しいビジネスの機会になるはずだと確信しているからです。この順番にお話しします。


●人口の飽和と先進国の課題


 グラフは横軸が1,000年を表していて、20世紀に入ったのが右から1センチほどのところです。20世紀に入ってから急激に活動の膨張が起こっています。世界平均の1人当たりのGDPが7倍に増えています。それから、世界の平均寿命ですが、1900年の頃は31歳でした。とても短命だったのですが、今の世界平均が72歳です。ですから、日本で高齢化が大変だと言っていますが、長寿化は世界的なことです。

 もう1つ重要なのが人口です。20世紀の入り口の頃は16億人でした。今は76億人まで達していて、約5倍に増えました。この後はこんなには増えていかず、96億人ほどでピークになり、その後は下がっていくともいわれています。この意味でも、日本は課題先進国といえるのです。

 20世紀以降の変化としてもう1つ重要なのが、二酸化炭素の大気中濃度です。産業革命のおかげで物質的に非常に豊かになり、長生きもできるようになり、人口が増えて、結局、地球を変え始めたというのが今です。このスピードは非常に速く、1世紀の間にここまで来てしまったわけです。そこから取り残されているのはアフリカやインドなどで、それを一人も取り残すことなくトップに引き上げることを目指すのが「SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)」です。言い方を変えると、地球と人権、これがSDGsの基本軸です。

 ですから、例えばSDGsの中には、エイジングという高齢化社会に関する話は入ってきません。それか...
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