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ブラックホールとは何か?…でき方の仕組みと候補天体

ブラックホールとは何か(4)ブラックホールの形成

岡朋治
慶應義塾大学理工学部物理学科教授
概要・テキスト
ブラックホールとは、その強力な重力のために光すら脱出することができなくなった天体である。それらはどのように形成されるのだろうか。それは恒星の一生に関する理解の枠内で説明できるという。(全8話中第4話)
時間:10:35
収録日:2018/10/31
追加日:2019/04/16
カテゴリー:
≪全文≫

●ブラックホールの定義


 それではここで、先ほどから話に挙がっている、「ブラックホールとは何か」についてお話ししたいと思います。

 ブラックホールとは何なのでしょうか。少しインターネットで調べてみると、いろいろな答えが出てきます。例えばウィキペディアでは、「極めて高密度かつ大質量で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することができない天体である。」と書かれています。デジタル大辞泉では、「強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することが出来ない天体。」とあります。百科事典マイペディアでは、「重力が強いため、光を含めいかなるものもそこから脱出できない面(<事象の地平面>と呼ぶ)が存在する天体。」とあります。

 微妙な違いはありますが、どれも同じようなことを言っています。つまり、あまりに重いために、光すら出てこられなくなった天体のことを、「ブラックホール」と呼んでいるのです。


●ブラックホールはどうやってできるのか


 ではブラックホールはどうやってできるのでしょうか。このことは恒星の一生に関する理解の枠内で説明されています。恒星とは、自分自身の核燃料を燃やしながらエネルギーを生成して光っている天体のことです。これは「星間分子雲」と呼ばれるところで生まれます。分子雲は、分子の形をしているガスが濃密になっている領域です。

 その濃密な領域の中で、重力が勝って収縮を始め、それが星になるといわれています。星の形態をなしたものは、最初は「原始星」と呼ばれます。原始星の段階ではまだ質量の降着、収縮は止まっていません。

 原始星の中心で核反応に火がつき、質量降着が止まったところで星は「主系列星」と呼ばれるものになります。この段階が一番長いのですが、主系列星は、中心のガスを核反応で燃やしながら、軽い元素をどんどん重元素へと合成して進化していきます。

 そして、この進化が進むと、中心での核燃料を使い果たします。そうすると、なかなか燃えにくくなっていきます。水素がヘリウムになり、ヘリウムが炭素になり、重くなればなるほど核反応や重合する反応に必要な温度が高くなっていきます。

 そのため、燃えない状態のコアが残ります。その結果、コアと外層部によって構成されるものになります。そのうち、外層部は膨張します。これを「赤色巨...
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